Now Loading...
 
  • トピックス

    大手が求める零細企業 業績好調の陰で「しわ寄せ」

    2012年12月25日

     
     
     

    truck4_1217.jpg 車両台数50台以下の運送事業者がトラック運送業界の9割を占める。そのうち約6割が営業赤字(全ト協平成22年度経営分析報告書)というデータがある一方で、大手信用調査会社がこのほどまとめた中堅・大手物流業者の収益調査では、2期連続で黒字を確保した会社は8割を超えている。中堅・大手物流業者の業績好調の陰で、中小・零細事業者がしわ寄せを受けていると指摘する声も少なくない。



     東京商工リサーチが公表した同23年の「道路貨物運送事業者の動向」調査によると、中堅・大手300社のうち、前年度比増収が232社(77%)、増益が149社(50%)で、2期連続で黒字を確保した会社は245社(82%)と8割を超えており、車両台数50台以下の事業者とは対照的な収益データとなっている。

     「仕入れの戦略に躍起になっている」と、ある大手運送会社と取引のあった運送会社によると、大手は零細業者を探すのに力を入れていると明かす。大手運送会社が下請け業者に求めるのは、貨物保険と登記簿だけ。信用と事故時賠償能力を確かめる。社会保険の加入の有無などは調べることはないという。「社会保険に入られたら傭車コストが上がり、取扱手数料が下がってしまう」と説明する。

     大手の担当者は、個人名で新規許可を取っている保有台数5台程度の運送会社を探している。「50台、100台と保有台数を抱えているところは拒否してくるため、大手としては小規模事業者が増えて欲しい。福利厚生費をかける事業者は要らない」という。

     仕事を受ける事業者にとっても、「ネームバリューのある協力業者にのぼせ上がってしまう。支払いも月末締めの翌月末払いと早く、入金面でも有利。事業を始めたところには魅力的に映る」といい、お互いに求めるものは合致する。しかし、大手は「低運賃で違反しても全くフォローはない。完全に使い捨て。順番に下請け事業者を変えていく」と話す。

     また、別の運送会社によると、大手の中にはリースを組んで車の所有者になり、車両のリース枠がない零細事業者と、リース契約を結び、リース代と運賃をはねてリスクなしで営業展開しているところもある。

     仕入れ戦略とともに、コンプライアンスのために協力会社を使うケースもあるが、大手でも子会社を通じてコンプライアンスの動きがある。倉庫業中心の大手の場合、自社トラックを近年、大幅に減車している。大手は第一グループと呼ばれ、第二グループが大手100%出資の子会社。第二グループが獲得してきた仕事を第一グループが受け、第二グループへ仕事を流している。

     リストラ組で構成される第二グループは、ピンハネされた金額で事業展開を余儀なくされている。「第二グループは月の拘束時間である293時間を常時超えている」と第二グループ出身者は明かす。業界関係者は、「大手に対しては公的機関からの監査の目が光り、コンプライアンスに取り組む立場。3PL事業と称して大きな収益を上げているが、幹線輸送など労働時間が長く採算が合わない仕事は下請けに任せ
    ている。自社は残業代が出ないところで仕事をする。大きく儲けるには運送会社が増え、競争してくれる方が都合がいい」と指摘する。(大塚 仁)

     
     
     
     
  •  
  •  
  • 「トピックス」の 月別記事一覧

     
  • トピックス」の新着記事

  • 物流メルマガ

    ご登録受付中 (無料)

    毎週火曜に最新ニュースをお届け!!

    ≫ メルマガ配信先の変更・解除はこちら