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    「兼業に活路」はあるか 生き残りかけて模索する運送事業者

    2014年6月5日

     
     
     

     運送事業以外のビジネスで新たな活路を見いだそうとする事業者が多く見受けられるようになった。厳しい経営の中で新たな道を模索し、各事業者が経営している様々な「兼業」について話を聞いた。そこには、運送事業者の厳しい現状と本音が見える。



     経営不振を背景に、空いた土地を利用した倉庫事業や不動産賃貸業は、今や珍しくなくなっている運送業界。最近では居酒屋やパン屋など、運送とはまったく異なる事業に進出しているケースも出ている。

     自転車の輸送・修理を行う大阪府守口市の事業者は「運ぶのが本業だが、それに付随した作業が兼業になることもある」と説明し、「ドライバーには自転車の組み立てや整備、検査が行える専門知識を学ばせて自転車技士の資格を取得させている。配送するドライバーが専門知識を習得することで仕事も軌道にのってきた」と話す。

     土地の有効活用を狙った月決めのトランクルームや中古車トラック販売など、運送事業での業績不振をカバーできる事業もあるが、一方で新たなビジネスにチャレンジする場合、ほとんど一から勉強しなくてはならないため、軌道に乗せることは難しく、撤退するケースも多い。

     かつて農産物の食品販売に挑戦したという大阪市都島区の事業者は「配送先で現地の農産物を買い付け、大阪市内で販売するというビジネスに取り組んだことがある。配送に関してはプロでも、物を売ることに関してはまったくの初心者だった」と振り返る。「いま考えれば失敗するのは目に見えていた。もう少し販売ノウハウを学んで慎重に事業を始めればよかったと後悔している」と話す。

     リスクも大きい兼業。しかし、そのリスクを承知で新たなビジネスを始めるのは、やはり運送事業だけでは厳しい経営環境にあることや十分な利益が得られないという声が、事業者から数多く聞かれた。これから新たに事業を展開していこうかと悩む事業者の声も聞いた。大阪府東大阪市の事業者は「リスクを考えると、兼業することになかなか踏み出せない。現状を打破するには何かないかと常に考えている」という。また、大阪府摂津市の事業者は「いいニュースが少ない運送業界で、兼業は事業者の希望となりうるかもしれない。アイデアと行動力を忘れず、挑戦していきたい」という声もあった。

     兼業を始める理由は、付加価値をつけて差別化を図ろうという狙いもあるだろうが、規制緩和で増え続けた多くの運送業者の中で、生き残るための必死の抵抗とも考えられ、ワラにもすがる思いの事業者は少なくない。事業者の抱えている問題点を荷主や市民に理解してもらい、運送業の役割を認めてもらわなければ、運送事業者の地位向上、労働環境の改善は難しい。

     運送業界は世代交代の時期にさしかかっている。若い世代が新しい分野に進出し新たなビジネスモデルをつくりあげることで、運送業界のイメージアップにつながるかもしれない。

     
     
     
     
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