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    荷主が求めるもの?連携がもたらすメリット?

    2014年1月10日

     
     
     

    riso_0113.jpg 総体的に景気は上昇傾向にあるが、燃料価格高騰や運賃問題など運送事業者の抱える悩みは尽きることがない。コスト意識が高まる中で、燃料サーチャージや運賃の値上げを言い出せない事業者も少なくない。とはいえ荷主も同様、燃料高騰の影響を受けている。こうした状況下で、密にコミュニケーションを取り、荷主と運送事業者が良好な関係を築いているのが、理想科学工業(東京都港区)とヒサゴサービス(同板橋区)だ。



     印刷機の製造・販売をメーンとする理想科学工業は、納品時に出る梱包材の処理を迅速に行うなど、顧客に迷惑のかからない物流を心がけている。「顧客のメリットを第一に考える」という同社の理念は、運送事業者にまで浸透し、共有されている。

     理想科学工業の主力製品である、デジタル印刷機「リソグラフ」の発売は1980年のこと。機械の大型化と配送量の増加で、営業担当が運ぶのも一苦労だったという。ヒサゴサービスの砂崎亨明社長との出会いは、ちょうどそのとき。以来、同社は地場の配送を担当している。

     日常業務の中に問題点を見つければ、コミュニケーションを取りながら改善を重ねてきた。砂崎社長は、顧客から引き取った機械が倉庫に保管されている光景を目の当たりにし、捨てる機械にお金を払っている現状を、荷主である理想科学工業の担当者に説明。処理スパンを早め、管理コストの削減につながる提案をすることで、信頼関係を築いている。

     あるときは、理想科学工業がヒサゴサービスに遠方への配送を依頼すると、砂崎社長から「依頼されたジャンルの製品は、別の事業者の方が安く配送できる」という逆提案があったほど。利益ばかりを追求するのではなく、荷主が今何を求めているのかを理解し、行動するひたむきな姿勢が長い付き合いにつながっているといえる。運賃の値下げは、運送事業者にとって大きな痛手となるが、このように両者が連携して取り組んだ結果、物流費のトータル的な見直しにつながった。

     荷主が物流に求めるものとはいったい何なのだろうか。曽場隆物流部長は「注文通りに事故なく届くことが第一。まずは品質、次にコストダウン。そして日常の取り組みの中で荷主と運送事業者の信頼関係を構築すること」と話す。事業者を選ぶ基準としては、これまでの仕事内容や経営状態、会社の評判のほか、最近では情報管理がなされているかも見られている。また、自社の得意分野を明確にすると、荷主側も判断しやすい。

     では、第3者機関からの評価が事業者選択の直接の基準となるかというと一概には言えないようだ。曽場物流部長は「評価は、確かに日頃からきちんと取り組んでいる証にはなる。でも一番大事なのは本質のところができている会社かどうか。エンドユーザーは、配送スタッフを運送会社ではなく理想科学工業の社員として見ている。理想科学工業の看板を背負ってやってほしい」という。同社では、仕事を流すような事業者には頼んでいないという。「お客様のもとに確実に製品が届き、満足していただいて初めて私たちの仕事は完結する。人のやることだから、どうしても事故は起きてしまう。実際に起こったとき、どのような対応をするのかが、その会社の評価に結びつく」。

     大久保洋巳物流企画課長によれば、契約の前に、期間を設けて実際に自社製品を運んでもらうという。「出会って1、2か月で契約が成立することはまずない。半年以上をかけてコスト面・仕事内容・実際に運ぶ様子を見せてもらう。経営者とドライバーの会話を聞いていると、社員を大切にしている会社かどうかが分かる。社員を大事にできない会社は荷主の思いも大切にしてもらえない」。

     荷主が今、運送事業者に求めるものは何か。荷主の考え方に対し、何をすればいいのかという目線を持つこと。そしてその気持ちが行動で伝わってくること。さらに、ともに成長するために手を取り合うことだといえる。激しい市場競争の中で選ばれる会社になるためには、荷主に何を言っても無駄だという「諦め」ではなく、一歩踏み出す「勇気」と、相手と向き合い理解しようとする「努力」が必要なのかもしれない。

     
     
     
     
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