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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(254)人材教育
2019年8月5日
1.5Sの実践で現場リーダーを育成する
A物流センターは物流品質トラブルが多発している。誤ピッキングや製品の破損が、それこそ毎日発生している。配送部門(ドライバー)についても誤着や欠品のクレームがひっきりなしである。A物流センターのセンター長は「どうしたものか」と頭を抱えている。職場の人間関係も悪い。クレーム発生の責任は「○△さんが悪い」「○□センター長がしっかりしていないからだ」と他責の不満がまんえんしている。自分の責任で解決できることは何か、という積極的な問題解決へ向けての姿勢がみられない。職場改善への根本的取り組みがセンター長に求められている。そこで、現場リーダー制度を確立して5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)の実践を徹底する取り組みがスタートする。
・現場リーダー制度の確立
現場リーダーは、職場集団の中で5S実践の見本者である。作業服についてもきちんとする。作業服の正しい着用は職場規律・モラル向上の第一歩である。現場リーダーの立ち居振る舞いは、周りから見られている。率先垂範をすることである。あいさつについても、誰よりも大きな声で明るくする。「おはようございます」「ありがとうございました」「お先に失礼致します」︱︱毎日の朝礼で、現場リーダーがあいさつ訓練をしている。現場事務所のトイレもピカピカにしている。こうした基本行動、動作を実践できるのが現場リーダーである。センター長は職場のメンバーの中から選抜して「基本行動動作の実践研修」を行うことで、現場リーダーの育成に取り組んでいる。1週間に1回、60分程度の研修である。「仕事でヘトヘトに疲れているのに研修ですか」「手当が出るのですか」「現場リーダーになんかなりたくありません」。センター長は粘り強く説き伏せていく。職場実態がクレーム・トラブルの多発に直面している。「なんとかしたい、やればできる」とセンター長の強い思いが徐々に浸透している。現場リーダーの選抜の基準は、勤怠がしっかりしていること、急に休んだり遅刻をしないことである。センター長は社長と相談してリーダー手当を1万円と決める。センター長いわく「コストアップに見えますが、クレーム・トラブルが減る。5Sが実践できる職場になる。必ず利益(収益)アップしますよ。荷主さんの信頼も深まりますよ」 (つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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