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    社会を支える宅配 高齢者や経済的余裕ない世帯など対象

    2019年10月3日

     
     
     

     社会生活に欠かせないツールとなった「宅配」。Eコマースの拡大によって、ますます重要度は増している。しかし、宅配は市民生活を支えているだけではなく、重い荷物を持てない高齢者に荷物を届けるなど社会貢献としても重要となっている。今回は経済的に余裕のない世帯を対象にした「子ども宅食」や高齢者一人ひとりに配慮した食事を宅配するサービスなど、社会貢献としての「宅配」について調べた。

     東京都文京区の経済的に余裕のない子育て世代を対象に、「子ども宅食」を展開しているフローレンス(同千代田区)。子ども宅食事業部の山﨑岳サブマネージャーと増田朱里氏に、スタートして2年経った子ども宅食について聞いた。

     「子ども宅食は7団体が共同して実施しています。食品の配送はココネットさんにお願いしています。普通の宅配は荷物をお渡しするだけだと思うのですが、ココネットさんは元々、高齢者の見守りという点でコミュニケーションを密にする配送を実施しており、子ども宅食の対象世帯に向けてもコミュニケーションをとりながら『いま、どのような状況ですか?』など聞いていただいております」という。

     「品質管理はキッズドアさんが手がけています。2か月に1度の配送になりますので、お菓子が多かったり、お米が少なかったりなどの偏りがないように調整していただいています。最初は150世帯に配送していましたが、現在では575世帯に配送しています。全国的には子ども宅食応援団を設立し、フローレンスが事務局として活動しています」と説明する。

     「文京区の中で生活に余裕のない世帯を1000から1200と予想しており、その約半分の世帯に子ども宅食を利用していただいています。ほとんどの世帯がLINEで申し込みをされており、やりとりもLINEです。もちろん電話やメールでも受け付けています。アンケートでは多くの方から、『心理的なストレスが減少した』『可処分所得が向上した』『食事が豊かになった』というお声を頂いています」と説明。「1度の配送で7〜10キロを配送しています。しかし、2か月に1度ですので、その食品だけで生活ができるというところまではいっていません。一つの手段ですね」という。

     日野市から委託を受けて、10年間、配食サービスを続けている社会福祉法人のマザアス(同市)。坂本淳課長と管理栄養士の池内瑤子氏に話を聞いた。

     「利益を上げるような事業ではないので、続けていくことは(民間企業では)採算的に難しい。普通にスタッフを雇用して運営すると赤字になってしまうんです。それで私たちはボランティアさんに配っていただいています。ただ、全く無償というわけではなく有償のボランティアです。一食いくらということで始めました」と説明する。「マザアスではもともと、地域の方々と一緒に推進していこうという考えがあったので、ボランティアも地域の自治会などに呼びかけました。地域のまとめ役のような方に頼んで、ボランティアを探してもらうような形でスタートさせました。現在では18人になります。毎日50から70か所ほど配送しています」という。

     「食事はこの厨房で作って、専用の保温ケースに入れてお配りしています。移動手段はすべて車両で、日野市全体をカバーしています。この配食サービスでもっとも重要視しているのが安否確認です。これが重要です。近隣とのつながりがない、家族も近くに住んでいない。高齢者だけになっている場合、いつ、どこで、何が起こっているのかわからない。お元気かどうか、一日一回確認するというのがこの配食の目的です。食事を提供することも大切ですが、どちらかというと安否確認が重要です」と指摘する。

     「留守だった場合、普通の宅配ですと置いてきたり、持って帰るだけですが、四方八方手を尽くして、その方の行方を追います。配送員からはカギの状況やいつもと変わったところがないのか聞き、ケアマネージャーや社会福祉協議会に連絡したり、緊急連絡先に連絡するなど最後まで追います。中で倒れていた例も少なくありません」という。「配送員も長く続けられている方が多く、配送先と仲良くやっています。仲がいいからこそ、少しの変化にも気がつきます」

     さいたま市でも高齢者向けの宅配食事サービスが平成8年ごろ(合併以前の3市)から実施されている。配送をボランティアなどに依頼する立場でもある、さいたま市社会福祉協議会では、配送サービスについてどの部分を重要視しているのか。同地域福祉課の阿由葉弘一課長補佐と岩﨑由佳主事に話を聞いた。

     「さいたま市の合併以前から宅配食事サービスはスタートしていました。サービスを始めるきっかけとなったのは、食事を届けると言うことだけではなく、地域の社会資源を生かしてボランティアが配る。食事も高齢者施設や社会施設などの調理ができるところにお願いして各拠点まで配送する」と説明。「その拠点までボランティアが取りに行く。ボランティアは必ず手渡しして安否も確認。食事を届けるだけと言うのではなく、地域の活性化も考えてスタートした」という。

     「ただ、専門業者がやっているわけではないので、夕飯だけの宅配になっている。利用者は月に400から500人に届けています。しかし、利用者は減少傾向にあります。やはり、食事を欲しい人は朝、昼、晩365日欲しいじゃないですか。うちの場合、申し込みから民生委員の調査などもあって時間がかかる。本当に欲しければ、民間企業に頼めば電話一本ですぐに持ってきてもらえる」と指摘。「世の中にこれだけ宅配サービスが充実していれば、食事だけではなく、いろいろな生活用品も宅配してもらえる。高齢者は増えていっているが、サービスも充実している」と説明する。

     「ボランティアを使っての宅配食事サービスを続けた場合、どのようになるのかわからない部分はあります。対象者については広げるかどうかの話し合いは続けています」という。

     
     
     
     

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