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ブログ・小山 雅敬
第251回:改善基準告示Q&A通達の重要ポイントは?
2023年6月2日
【質問】今年の3月に厚労省から改善基準告示に関するQ&Aの通達が出されたと聞きました。実務的に重要なポイントがありましたら教えてください。
3月31日に厚生労働省から基発0331第49号通達として「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A」が発出されました。トラック関係のQ&Aだけでも38項目にわたりますが、その中で実務上、特に抑えておくべき重要な項目が10項目あります。次に列記する内容は全員で確認しておきましょう。
①「拘束時間等の延長に関する労使協定」が4月1日をまたぐ場合、4月1日以後に新たに定めた協定から新告示に対応すればよい(それまでは旧協定の内容が有効)、また36協定についても同様
②改善基準告示の1年、1か月、1日の起算日は就業規則で特定した日を起算日としてよい
③サービスエリア等での車中泊は、駐車スペースが確保でき、荷物の看守義務がないなど、自動車運転者が業務から開放される場合は休息期間となる
④1日の始業時刻から24時間以内に休息期間の終点が到来する必要はない(24時間を超えても可)
⑤「1週間における拘束時間が全て長距離輸送で…」の1週間の初日は就業規則等で定めた起算日になる
⑥連続運転時間は、4時間以内に「運転の中断」が30分を経過した時点でリセットされる
⑦「運転の中断」は原則として休憩だが、業務の実態等を踏まえ、短期的には見直しが難しい等の特段の事情がある場合は、運転の中断時に必ず休憩を与えなければならないものではなく、例えば荷積み、荷卸しや荷待ちを行ったとしても、改善基準告示違反とはならない
⑧「運転の中断」は1回おおむね連続10分以上、合計30分以上であり、例えば「5分」は10分と乖離しているので認められない
⑨「予期し得ない事象」について客観的な記録とは、「運転日報上の記録」の他に「予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料」が必要。例えば㋐修理会社が発行する故障車両の修理明細書等㋑フェリー運航会社のホームページに掲載されたフェリー欠航情報の写し㋒日本道路交通情報センターのホームページに掲載された道路交通情報の写し㋓気象庁のホームページに掲載された異常気象に関する気象情報の写しなど
⑩2人乗務特例について、走行中の座席や車両内ベッドの利用は関係法令の趣旨を踏まえ、安全な乗車が確保されない場合は認められない。また仮眠時間は拘束時間に入る。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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