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ブログ・小山 雅敬
第260回:中小運送会社が始められる物流DXとは
2023年10月20日
【質問】最近、物流DXという言葉をよく聞きますが、自動運転や自動倉庫など資金力のある大企業が取り組む内容が並んでおり、中小企業には無縁な気がします。中小運送会社でも始めやすい物流DXがあれば教えてください
物流DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」(国土交通省の定義)を指し、現在の物流の課題(①人材不足②小口宅配便の増加と商品管理の複雑さ③トラックの積載効率低下④長時間労働・低賃金等)を解決するための有力な処方箋として期待されているものです。
具体的には「自動運転」や「ドローン物流」「自動配送ロボット」「自動倉庫」等、将来的な実用化と普及を目指して実証実験中の取り組みがあり、その他に物流の現場で既に導入が進みつつある「バース予約システム」や「荷役作業の効率化に資する機器」「車両動態管理システム・配車管理システム、求貨求車システム等」「原価計算システム」「デジタルタコグラフ」「遠隔点呼システム」「共同輸配送システム」等の取り組みがあります。
これらの内容は6月2日に発表された「物流革新に向けた政策パッケージ」の中でも、今後政府が注力する分野として明記されています。中小運送会社が今から始められる物流DXといえば、まずはデジタルタコグラフ(以下デジタコ)を活用した車両管理や労務管理の実施ということになるでしょう。
最近はデジタコを導入済みの運送会社が以前に比べてかなり増加していますが、未だに手書きの運転日報で管理している会社も散見されます。
車載端末にGPSをつなぎ、クラウド型でリアルタイムに事務所内で管理ができる仕組みを導入すると、運行管理が著しく合理化され、ドライバーや運行管理者の労働時間短縮に効果を発揮することになります。
また、煩雑な改善基準告示の順守状況のチェックもたやすく行うことができ、コンプライアンス経営の推進につながります。さらに配車管理に極めて効果的であり、効率配車により物流の省エネ化やCO2排出量削減にも結び付きます。
現場での手作業による管理には限界があり、管理をデジタルに置き換えることで絶大な効果が得られます。
2024年問題を控えた今年は各種補助金(特に厚労省関係の補助金)において一定の社内整備を行った会社に対し、デジタコや労務管理ソフト等の投資に係る費用の相当割合を補助する制度が始まっており、DX化を推進するには今年が最高の好機であると言えるでしょう。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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