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ブログ・野口 誠一
第394回:「廃業3条件」をクリア
2013年1月7日
(Aさんは数値目標を掲げ、期限を切り、リーマン・ショック後の経営にチャレンジしていく。その結果どうなったか。以下、Aさんの体験発表のつづきである)
私があと半期と期限を区切ったのは、私なりに計算があったからです。以前、何かのセミナーでM&Aについて勉強したことがあり、「企業が身売りできるのは、2期連続赤字までが限界」と聞いていたからです。すでに私の経営は09年2月期が4500万円の赤字、10年2月期もあと半期を残すものの、到底赤字は避けられない見通しでした。私はその赤字を5500万円と想定し、それを超えたら、すぐに身売りしようという腹だったのです。
ところがその10年2月期、赤字は赤字でしたが、想定よりも3300万円も少ない2200万円におさまりました。私が家族会議で宣言した「廃業3条件」の一つは、とりあえずクリアできたのです。そして翌3月の月次決算は、わずかながらも黒字に転換しました。これで2つめの条件もクリアです。さらに3つめの条件、10年3月〜8月上半期の決算も黒字となり、3条件すべてをクリアした私は、廃業も身売りすることもなく、今日に至っています。
もちろん、楽な経営ではありません。いつまた赤字に転落しても、はたまた倒産に追い込まれても、なんの不思議もありません。リーマン・ショックは、それほど深い傷をわれわれ中小企業にもたらしたのです。われわれだけではなく、世界中がその後遺症に苦しんでいます。この先どうなるかは誰にも読めません。しかし、そのなかを生き残っていくのが経営です。
(Aさんは半世紀にわたる経営のなかで、経営のなんたるかをつかんだと言っている。それは次回に)この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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