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ブログ・高橋 聡
第179回:新型コロナウィルス対策 社員の休業について(2)
2020年8月6日
このシリーズでは、新型コロナウイルスへの対策に関し運送業経営者が押さえておきたい労務管理上のポイント、知っておきたい事項について説明してまいります。前号で新型コロナウイルスの影響で「物流サービス業」において社員を休ませる場合は「休業手当」(平均賃金の6割以上)の支払いが必要ということを説明しました。
この場合の休業とは、会社側から仕事を休んでもらうことを指します。では、ドライバーが「コロナ感染が怖いので出社したくない」と言ってきた場合は、どういう対応をすべきでしょうか?
物流の現場は、アルコールチェックや倉庫内作業が3密となることなど感染リスクが一定以上となる局面があります。「テレワーク」も不可能です。
このような現状なので、社員が自身や家族への感染リスクを考え業務に就くことを拒むことは理解する必要があります。よって、徹底した感染対策をまずは実施し、それでもなお休みたいという社員は「有給休暇」の付与で対応することとなります。有給休暇のない社員には別枠で「特別休暇」(有給)を付与することも検討すべきでしょう。
社員が休みたいという背景として、社員の感染リスクへの配慮が十分でない運送会社もあると考えられ、経営者や幹部の意識改革が必要です。
「家族あっての社員、社員あっての会社」ですので、社員とその家族に対する感染リスク対策を徹底的に行うこと、まずは経営者が率先して「咳エチケット」「マスク」「うがい」「手洗い」などの基本ルール、基本マナーを徹底しその姿を社員に見せることが必要です。
そのうえで、物資の供給という必要な社会的使命を担っていること、感染し現場を止めることは社会的使命を果たせないこととなること、これまで培った信用を失墜する可能性があることなど、大切な社員とその家族の健康を守る姿勢を明確に打ち出す必要があるでしょう。社内にコロナ対策の方針文書を掲示することを、ぜひ実施ください。
感染力の高いウイルスであることは周知の事実ですが、指示事項の不徹底、休憩室での雑談など、ちょっとした気のゆるみや不注意から発生するクラスターにより、場合によっては事業所や会社の事業継続そのものに影響を及ぼす可能性があることに十分留意する必要があります。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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