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物流ニュース
コロナ禍で成長するトランクルーム市場 運送事業者と提携も
2021年2月25日
コロナ禍において感染拡大防止のため、多くの人が自宅で過ごす時間が増えた。それを受け、新型コロナウイルス感染症拡大以前と比べて自宅が手狭になったと感じている人が増え、その対策としてトランクルームの需要も増えているという。運送業界の中でもトランクルーム事業を展開している事業者は少なくないが、コロナ禍で先の見えない経済情勢の中、数少ない成長市場の一つとして注目が集まっている。
日本最大級のトランクルーム検索サイト「LIFULLトランクルーム」を展開するLIFULL SPACE(奥村周平社長、東京都千代田区)は昨年10月、全国25~59歳の男女510人を対象に「コロナ禍での収納と自宅スペース」に関するアンケート調査を実施。新型コロナ拡大以前と比べて、自宅が手狭になったと感じている人が約3割いることが分かった。
理由として「モノが増えた」が最も多く、続いて「日用品などをストックするスペースを確保したから」「自分や家族が家にいる時間が増えた」が上位を占め、また、手狭になったことに対して約7割の人が「何も対策をとっていない」と回答した。
キュラーズ(スティーブ・スポーン社長、同品川区)が昨夏に公開した「トランクルーム市場に関する市場規模と成長予測に関する最新の調査結果」では、トランクルーム市場(屋内・屋外含む)は過去最高となる650億円規模へと大きく拡大。2008年比2.4倍増となり、トランクルーム店舗数は統計史上初めて1万店舗を突破(1万793店舗)、全国のトランクルーム延べ室数は前年比9%増加し、47万8000室になったという。
同社では、「不透明な経済状況下でも、テレワーク・オンライン学習の急速な浸透など居住環境の変化による収納ニーズの高まりや、オフィスのダウンサウジングに伴うトランクルーム需要も顕在化しつつある」と分析。今後も同等の市場拡大が続くと仮定した場合、2025年には1000億円を超える規模へと成長する可能性を秘めているとしている。
今後の市場動向に関して高い期待と注目が集まるトランクルームだが、各企業も新たなサービスを開始してさらなる需要拡大に努めている。トランクルーム「収納ピット」を展開しているアンビシャス(徳永暢也社長、大阪市中央区)は1月から、利用者の希望する場所からトランクルームまでの荷物の運搬を代行する「お荷物運搬サービス」を開始した。
同社によると、コロナ禍の影響で、テレワークで自宅に作業スペースを設けたり仕事用品を置くことで生活スペースが圧迫されるなど、家庭内での物の置き場所が課題となっているなか、トランクルームに関心を持つ生活者が大幅に増加しているという。一方、感染リスクで外出をためらう人やマイカーを保有しない人、重い荷物の運搬が困難な女性や高齢者に向け、自宅からトランクルームまで荷物を運搬し収納するサービスが求められている。
新たに開始した「お荷物運搬サービス」について、同社執行役員CMOの入佐裕之氏は、「コロナ禍で外出を制限され、より移動しにくい状況の中、自宅に居ながらにして、自宅がキレイになるというサービス」と説明。「当社が提携する運送事業者が、利用者とヒアリングを行い、希望する場所で荷物を引き取り、当社のトランクルームまでの運搬とトランクルームへの収納を代行する。当社は取次業者という形となる」と続ける。
収納完了時には、収納した様子を撮影して利用者に画像を送付するため、自宅にいたままで保管状態を確認できる。365日24時間の引き取りが可能で、帰宅が遅い人や夜間に荷物の引き取りが発生した場合の利用も可能。引き取り対応エリアは日本全国で、運送会社への取次ぎ料金2000円(税別)と、5000円(同)からの代行料金で利用できるという。
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