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    物流専門家を災害対策の中枢に

    2011年12月6日

     
     
     

     東日本大震災ではトラック事業者が「物流専門家」として被災地に派遣され、大きな成果を上げた。阪神・淡路大震災でも多くの物流専門家が活躍したが、東北地方ではその教訓が生かされず、「もっと早く派遣されていたら」と悔やむ関係者は多い。
     こうした中、被災県でもある茨城県では「物流専門家」をあらかじめ災害対策の中枢に位置付け、現場でロジスティクス全般を指揮してもらおうと防災計画を見直している。地域の災害協定などで物流専門家の「派遣要請」を定めた自治体はあるが、災害対策の中枢に位置付ける防災計画は全国でも初めてという。


     茨城県は、大震災での救援物資輸送で様々な問題が浮上したことから、学識経験者のほか茨ト協をはじめ運送事業者や関東運輸局、倉庫事業者、市町村、警察などと「緊急物資輸送体系検討委員会」(矢野祐児委員長、流通経済大教授)を9月下旬に発足させた。11月10日の第2回会合では、それぞれの立場から大規模災害時の緊急輸送のあり方について意見を交換。特に「物流専門家」の位置付けについて活発な議論が交わされた。
     例えば、「1平方メートル当たりの耐荷重が5トンなら大型トラックは入れる」が、そうでない建物では不可能。岩手県では耐荷重5トンの施設を初動から救援物資の備蓄に充てたが、宮城県では遺体安置所に使ったため、その後の救援活動に大差が生じたケースが指摘され、「救援物資の集積所(施設)の選定段階から物流専門家に入ってほしい」との要望が相次いだ。
     実際、茨城県では当初、「よく分からない。必要ない」としていた物流専門家を、関運局の呼び掛けで導入。茨ト協から派遣された日立物流の社員らが現地に赴き(関運局からはリエゾン2人同行)、それまで滞っていた物流をスムーズに展開させたところ、周囲は「プロのノウハウ」を改めて見直したという。
     「車両選定も素人には難しい」「道路を警察以上に知っているのは物流事業者」などの意見もあった。
     県は、(1)窓口が複数あり市町村が混乱した(2)救援物資の調達・管理・配送を複数の課でバラバラに実施し、非効率だった(3)情報を共有化できなかった――などの反省を踏まえ、災害時のロジスティクスを一元管理する「物資調整班」の新設を検討し始めた。スタッフは「12人以上」を想定。この中に「トラック協会が派遣する物流コーディネーター」を明記する方針だ。
     まだ案の段階で「物流コーディネーター」も仮称だが、関運局の担当官は「物流をトータルにコーディネートする物流専門家を重視し、防災計画や災害協定に反映することは間違いない。茨城でまとまったら、管内の他の県でも同様の処置をとるよう要請していく」と話す。検討委は12月15日に最終回が開かれ、年内にも新たな輸送体系をとりまとめる。

     
     
     
     

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