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物流ニュース
サントリーロジ武藤社長「効率的な物流を構築していきたい」
2022年6月16日
サントリーロジスティクスの指揮を執る武藤多賀志社長は、2019年に社長に就任した。それまでサントリーで営業畑を歩んできた同社長だが、物流という仕事に足を踏み入れたことで見えてきたこともあるという。
同社長は1984年にサントリーに入社、営業としてウイスキーを中心に洋酒事業に携わった。その後は、全国飲食チェーン店やコンビニエンスストアなどを担当する広域営業本部のマネージャー、そして部長を歴任するなど、文字通り営業畑を歩んできた。
営業メインだったそんな同社長のサントリー人生の中で節目となったのは、2008年に全国の営業推進1部部長兼グルメ開発部長に配属された時だ。そこでは「ウイスキーをもう一度復活させよう」というコンセプトで、角ハイボール酒場の火付け役として、オリジナル商品である角ハイボールのレシピを開発したのだという。そして札幌支店長、東京に戻って市場開発本部の部長を歴任する。
そのため、同社長が、本格的に物流に携わるのは、2019年にサントリーロジスティクスの社長として着任した時が初めてだった。
「それまでは、商品を開発して、しっかりと売る。届けてもらうというのは、当たり前だと思っていた」という同社長は、「サントリーロジスティクスに入り、消費者に届けてもらうことの大切さを感じた」とし、「だからこそ、自分が社長に就任したことに、物流の難しさをメーカー側に伝えるという大きなミッションがあると感じる」と話す。
同社長はまた、「サントリーロジスティクスとして『どう運ぶか』というのがなかなかに難しく、メーカーと意思疎通を図っていくことが、思いのほか大変だと感じた」と振り返る。
例をあげると、「通常の業務では感じることは少ないが、災害が発生するなどイレギュラーな状況では、共通理解ができているかが問われる」のだという。「どの仕事にもそうだが、それぞれの立場があるので、考え方が違う場合もある」とし、「だからこそ分かり合うことが大切」だと、同社長は入社後から共通理解に尽力した。
2019年の社長就任時、物流業界には追い風が吹いていた。しかし、就任して間もなく、新型コロナウイルス感染症という未曽有の事態に見舞われ、物流業界も大きな影響を受けた。外的要因による難しさも感じたという同社長は、「物流企業として諸課題に対して、外に危機感を訴えていく必要がある」と指摘する。
同社では、2020年のコロナ禍から、パートナー貨物(外販)の獲得に積極的に取り組んでいるが、「サントリーの商品を更に安定的に運べるようになるため」というのが大前提で、今後も、相乗効果が得られるパートナー企業と、仕組みやシステムを組み立てつつ、積極的に進めていくとしている。
同社長はその上で、「効率的な輸送に取り組んでも、長距離の幹線輸送は必要なので、輸送力をどう維持していくか、考えていく必要がある」とし、「パートナー企業と、スイッチング輸送やその拠点づくりをはじめ、混載についても実現させていきたい」という。
さらに、飲料物流は夏場に荷物が集中するので、反対に冬場に荷物が集中するような企業と、臨機応変に協力し、平準化を図っていきたいと、同社長は指摘する。
一方、DX化への取り組みにも積極的で、昨年11月には首都圏の物流新拠点である浦和美園配送センターが、今年2月には沖縄豊見城配送センターが本格稼働したが、自動運転フォークリフトやバース予約システムの導入など、最新の技術を導入した。バース予約システムは倉庫荷役作業において約2割の業務を削減できる予定で、「すでにある倉庫でも順次導入していきたい」と、同社長は説明する。
ただ、こうしたDX化の推進も、同社長は、「完全な自動化には反対で、BCPの観点からも有事の際は手動でも対応できるようにする必要があると考えている」とし、同社では、半自動化や簡略的な自動化を目指していく。
最重要課題である安全対策の徹底に加え、改善提案が受け入れやすい風通しの良い社内環境を武器に、「人の力とDX化を融合させ、効率的な物流を構築していきたい」と同社長は話している。
◎関連リンク→ サントリーロジスティクス株式会社
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