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物流ニュース
自動運転技術と法整備【前編】 「限定的」目指すべき
2019年4月12日
自動運転の実証実験はトラックだけではなく、バス、タクシーでも全国各地で実施されている。物流サービスでは、経産省から受託を受けた豊田通商(名古屋市)が行うトラックの後続有人隊列走行の実証実験が1月22日からスタートし、2月末まで新東名高速道路で行われた。人手不足やドライバーの高齢化が進む運送業界に対し、自動運転やトラック隊列走行で省人化できるという改善策が、ここ数年で現実味を帯びてきた。また自動運転が実現すれば、ヒューマンエラーに起因する交通事故の大幅な削減も期待できる。自動運転に関わる学識経験者をはじめ、自動運転を推進する経産省や国交省、そして内閣府を取材し、自動運転の経緯や現状、今後の動向を探った。
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東京大学教授の須田義大工学博士は、モビリティ・イノベーション連携研究機構長を務め、自動運転技術の開発だけではなく、法整備にも関わる自動運転の第一人者だ。須田博士はトラックの隊列走行について「一般道を含め、どこでも走れるトラックを目指すのではなく、『高速道路だけ』『インターチェンジまでの区間だけ』といった限定的な自動化を目指すべき」と話す。自動運転は、運転支援に留まるレベル1から、地理や環境、交通状況などに限定されず、システムが全ての運転タスクを実施するレベル5まである。同博士は、「運転支援であるレベル2は実用化されているが、レベル3になると、途端に技術的にもハードルが高くなる」という。
レベル3では、自動運転システムが運転の責任を持つが、困難な場合はドライバーが代わりを務めなくてはならない。同博士によると、物事を監視しチェックすることは人間が最も苦手とするタスクで、レベル3の状態はドライバーモニタリングが必要になるという。
「それならば、レベル3を飛ばして考え、先頭トラックはドライバーが運転し、後続車を完全自動化して先頭車についていくだけといったように、先頭と後続のトラックのレベルを分けたほうが現実的だ」。その上で同博士は、「自動運転は社会においてレベル2とレベル4が同時進行で進展していくのではないか」と考えている。
また、あらゆる走行中の車両には運転者がいなければならないとする、国際的な道路交通に関する条約「ジュネーブ条約」があり、現行ではレベル4の実現は難しい。現状では、「トラックの隊列走行は、トレーラのように後続のトラックが電子けん引されているという解釈が必要になる」という。(つづく)
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