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    正しい理解が必要 年次有給休暇の注意点

    2019年6月28日

     
     
     

     働き方改革法案の成立で、今年4月から全ての企業に対し、年10日以上の有給休暇取得の権利がある従業員について、最低でも5日以上は有給休暇を与えることが義務付けられた。

    対象となるのは、(1)入社後、6か月が経過している正社員またはフルタイムの契約社員(2)入社後、3年半以上経過している週4日出勤のパート社員(3)入社後、5年半以上経過している週3日出勤のパート社員──のいずれかに該当する従業員だ。運送事業の労働管理専門コンサルタントであるムロタ社会保険労務士事務所(大阪府東大阪市)の室田洋一氏に、年次有給休暇の注意点について聞いた。

     今回の法改正による義務に違反して、対象となる従業員に有給休暇の指定をしなかった場合は労働基準法違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる。室田氏は、「中小の運送会社では、いまだに年休を理解できていない、または付与できていない会社がある。歩合給での賃金に加え、1か月当たりの労働時間管理と勤務予定表が作成出来ていないことが、年休の理解を妨げていると言える」と指摘する。

     社員が自ら取得した年次有給休暇(年休)が、1年間に5日に満たない場合、その残りの日数について社員の意向を聞いた上で、事前に「◯月◯日に休暇を取得してください」と指示をすることで、確実に5日間の消化が義務付けられることとなる。室田氏は、「年休は仕事が予定されている日に取得するものであり、もともと休日に指定されている日に有給休暇を取得することはあり得ない」とし、「多くの運送会社は休日出勤があるが、その日はもともと休日なので有給休暇の対象にはならない(休日出勤をしないことで元の休日となる)」と注意を促す。

     有給休暇の対象となる日が明確となる方法として、「1か月の勤務予定表を作成し、出勤日と休日出勤日を予定すること」と提案する。

     付与日=基準日については、「初年度の年休の権利は、労働者の雇い入れの日から起算して6か月を経過した日に発生する。従って、各人の付与日は入社日から6か月間継続勤務した日の翌日=基準日となる。例えば9月1日採用者は、翌年以降、毎年4月1日に新たに有給休暇が付与される」。使用者の時季変更権については、労基法第39条5項で「請求された時季に事業の正常な運営を妨げる場合、他の時季にこれを与えることができる」とあり、同氏は、「会社の日々の仕事量は決まっており、仮に多くの運転者が一斉に年休を申請し、それを受けた場合、荷主からの仕事を消化できず、契約そのものを失ってしまう」と指摘。従って、「配車変更が可能な範囲でしか有給休暇の承認はできないこととなる。平日での場合、休日変更やフリー便の変更などでの範囲内での承認となり、申請日の変更を要請する場合がある」

     年休の賃金については、労基法39条7項で「平均賃金もしくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない」とあり、「月給制の場合、欠勤すれば基本日額分が給与からカットされるが、年休取得により所定時間労働8時間が保証される」と同氏。ただし年休を取得した場合、「残業時間に相当する手当分が、実際に勤務した場合より減収となる。労基法では、年休は所定労働時間の8時間分を保証するが、残業時間分は保証していない」と説明する。

     計画年休について、労基法39条6項で「有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、労使協定の定めで有給休暇を与えることができる」とあり、「祝祭日が多い月、正月などで業務の運休が多く、要員に余裕がある場合、事前に計画年休を指定することが可能となる」。さらに年休買い上げの禁止について、同氏は「年休買い上げの予約をし、年休の日数を減じ、または請求された日数を与えないことは労基法第39条違反である。ただし、退職の意思表示をした場合の残日数について特段の決まりはなく、合意の上での対応は可能」と話している。

    ◎関連リンク→ ムロタ社会保険労務士事務所

     
     
     
     
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