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物流ニュース
SAS検査促進など 睡眠の質改善への各社の取り組み
2022年7月15日
SAS(睡眠時無呼吸症候群)患者数は日本に数百万人といわれているが、検査や治療が進んでいないのが現状のようだ。生活習慣病やSASに対応する専門医を置くクリニック、上西内科(愛知県小牧市)の上西栄太院長は、「(検査を)個人に直接働きかけるのではなかなか浸透しない。会社単位で取り組むことが重要ではないか」と指摘する。健康起因事故を防ぐには、経営者や管理者が検査の必要性を示し、治療を促すことが求められる。
愛知県弥富市に本社を置くダイセーセントレックス(古川正和社長)では、全ト協の助成制度を利用し社員70人がスクリーニング検査した。睡眠中のいびきを家族に指摘され、社員とともに検査を受けた古川社長。結果、中程度の睡眠障害ありと診断され、精密検査を経てマウスピースによる治療を開始。並行してスマホの睡眠アプリで睡眠時の状態を計測し、データを取って改善に取り組んでいる。
同社で「要再検査」と診断された社員は10人。古川社長が社員に先駆け治療を開始したのは、社員が「前向きに治療するきっかけになれば」との思いがあったから。「治療するかどうかは本人次第だが、再検査費用は会社で全額負担する。症状が改善すれば居眠り運転の危険や事故が減り、会社にとってプラスになる。何より日々快適に仕事をしてほしい」と話す。
自費制作した上下顎一体型マウスピースについて、「つけ始めは違和感があったが、すぐに慣れた」と同社長。はずしたくなる時もあるというが、つけていると気道が確保され「苦しくて目が覚めることがなくなった。日中、長時間運転していても以前のように眠気を感じることがない」と効果を実感している。睡眠アプリで計測したデータを見ても、治療前に比べ無呼吸になる回数が大幅に減少、改善していることがわかる。
一方、快適な睡眠が日中のパフォーマンスを上げるとして、睡眠の質改善に向けた取り組みも各社で見られる。社員の快適な睡眠を応援するのは大橋運輸(鍋嶋洋行社長、愛知県瀬戸市)。同社では「パジャマプレゼント」「枕プレゼント」企画を随時設け、希望する社員に抽選で提供。鍋嶋社長は「ちゃんとしたパジャマを着用することで、自分も睡眠の質が変わった。ジャージやスエットで寝るのとは全く違う」と自身の経験を語り、「パジャマは脳と身体をゆっくり休めるアイテム。素材や着用感などよく考えられている」として社員にも睡眠時のパジャマ着用を勧めている。
また、腸内環境の悪化がストレスや不眠につながることから、ビフィズス菌や乳酸菌も注目されている。エイト商会(小倉豊社長、同西尾市)では、健康経営の一環として今年から社員に毎日1本、乳酸菌飲料の支給を始めた。「高血圧やいびきなど奥さんから聞くこともある」という小倉社長は、社員の健康について把握し、治療を促すためには「何より家族とのコミュニケーションが大切」と話す。
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