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物流ニュース
荷主・物流事業者等に対する規制強化へ 実効性を確保する議論開始
2024年5月31日
トラック運送事業の働き方について、魅力ある職場環境にするために時間外労働規制が適用されたが、何も対策を講じなければ、輸送力不足が高まる可能性があることが明らかになっている。そのため、「物流の効率化」「商慣行の見直し」「荷主・消費者の行動変容」などの対策が必要として、改正物流効率化法が成立し、5月15日に公布された。改正法では、物流効率化のために荷主や運送事業者に規制的措置を導入して努力義務を課しており、労働時間の短縮と適正運賃収受の実現を目指している。
物流効率化に向けた基本方針の策定と、努力義務の中身を具体的に示して実効性を確保するため、国交省、経産省及び農水省が連携をして、改正物流効率化法の「荷主・物流事業者等に対する規制的措置」の施行に向けた検討が始まった。10月頃に取りまとめ案を、11月から12月頃に政省令案を作成し、パブコメを経て、2025年初をめどに政省令を公布するとしている。
国交省の鶴田浩久物流・自動車局長は「荷主と物流事業者に対する規制的措置は、荷主と運送事業者が協力していく、これをある意味義務付けるわけだが、すべての荷主と物流事業者に課した物流効率化に向けた努力義務の中身を法律の条文だけだとすごく抽象的なので、具体的に中身を示すことで、どういう努力義務を負っているのか正しく理解してもらうための判断基準を定める」としている。
この3省による合同会議では、荷主・物流事業者に対する規制的措置の実効性を確保するための制度設計のほか、連携協力の在り方や物流効率化に向けたデジタル技術の活用の在り方などが議論される。「立場を超えて協力する」というのがこの法律の主な規制の内容で、共通の目標は、「いかに効率化できるか」ということになる。
荷主・物流事業者に対する規制的措置には、すべての事業者に対する措置と一定規模以上の事業者に対する措置がある。全ての事業者に対する措置では、荷主・物流事業者に対して、物流効率化に取り組むべき措置について努力義務を課して判断基準を策定する。
物流事業者に対しては、取り組むべき措置が努力義務として掛かるが、モードに応じて荷待ち時間の短縮、荷役時間の短縮、積載率の向上、これのいずれかが適用されることになっている。この判断基準に基づいて、取組状況に対する指導・助言、調査・公表を実施することになるが、合同会議では、この調査・公表のやり方についての議論が行われた。
また、特定事業者(一定規模以上の事業者)には、中長期計画の作成や定期報告等を義務付け、特定事業者のうち荷主には、物流統括管理者(CLO)の選任を義務付けるとし、合同会議では、特定事業者の指定基準や指定後の取り組みに対する国の判断基準などが議論され、大手で取扱貨物量が多い順に日本全体の貨物量の半分程度となる事業者を指定基準とする案が検討された。
経産省では「ここに来て、荷主自体が物流に係る問題を解決していこうと思っているので、この機を捉えて、持続可能な物流の実現に向けて土台を作っていきたい」としており、来年度の施行に向けて議論が行われる。2回目(全3回)の合同会議は、8月頃の開催予定としている。
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