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ブログ・高橋 聡
第286回:令和時代の運送業経営 リスク対応編(83)
2025年4月10日New!!
【リスク対応編】83
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号も中小運送業における「事業承継リスク対応」に関し解説してまいります。
1.事業承継リスク
中小運送業における「事業承継リスク」には、大きく「後継者難」「納税」「経営承継」リスクがあります。いずれも頻度は低いが経営への影響度の大きいリスクで早い段階での対策が必要です。2.経営承継リスク
事業承継リスクのうち「経営承継」は実務上最も重要な事項であると考えます。親族による承継、M&Aによる承継、いずれにしても社内体制を整備し新経営者により成長していく軌道を描けるかが会社にとって最重要です。事業承継自体は基本的に社員とは関係のない事項です。ただし後継者が誰であるのか、M&Aによりそれまで関係のなかった会社の傘下になるのかということについては高い関心を持っています。
株式や納税対策は「モノの承継」ですが新経営者による「ヒトの承継」が社員にとっては重要事項です。
経営者が変わって「仕事はどうなるのか」「給与はどうなるのか」などについて、就任時にメッセージを出していくべきでしょう。
前経営者の代に「うまくいっていたこと、いっていなかったこと」を整理し特に問題、課題であった事項については改善を進めていきます。
例えば、「報告・連絡・相談」体制は風通しのいい組織を作る場合に手を付けやすい事項だと思います。「社内イベント・安全会議・表彰制度」なども新経営者のセンスで検討していい事項だと思います。
一方、「給与制度」「就業規則」「雇用契約書」などについて早急に変更することはおすすめできません。新経営者は給与制度に問題意識を持つことが多いのですが、慢性的なドライバー不足の現状において、前経営者の下、その会社に所属していたドライバーを尊重し、ドライバーの生活に直結する給与制度を安易に変更することは避けた方がいいと考えます。
改善したい、という問題意識がある場合、ある程度の期間を掛けて外部専門家のアドバイスを受けて取り組むことをおすすめします。
M&Aの場合でも買収元会社の制度を無理に当てはめることなどは最も大切な継続的なマネジメントが実現できないこととなるため避けた方がいいでしょう。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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