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廃車の処理されず課税 名義貸しで起こった税金問題
2012年5月24日
財政難を反映してか、国や地方自治体、社会保険事務所による税金や社会保険料の取り立てが厳しくなっており、運送事業者の中には対応に追われるところもある。先月、自動車税の滞納により関西のある運送会社社長の個人資産が差し押さえられた。トラック10台分で、額は40万円近くに上った。
10年以上前から滞納し続けていたもので、延滞税が膨らんだ結果であった。運送会社社長は「自動車税が、こんなに膨らんでいたとは」と驚くが、実は、税金を滞納していた車両は10年以上前から名義貸しで使われていた車で、廃車処理がなされておらず、自治体が過去の滞納分を掘り起こして督促を行ったようだ。この運送会社は車両30台で事業展開しているが、昔は持ち込まれた4トントラックにナンバーを貸して、名義料を徴収していたという。運転者が自動車税など諸経費を自己負担しながら使い続け、トラックは運転者が各自で処分したという。しかし、トラックは正式に廃車手続きがされず、車の所有者となっていた運送会社に多額の自動車税が課せられることになった。
4トン車の自動車税額は営業用で年額1万5000円。しかし、納付せずにいると年14.6%の延滞税が加算され続ける。
同社には一昨年あたりから自動車税の督促状が届くようになり、「こんな大昔の税金、まったく身に覚えがない。知らない」と無視し続けていたが、先月になって自治体から財産差し押さえの通知が届いた。社長の生命保険の貸付額を差し押さえられ、その後すぐさま廃車届けを出しに行ったという。同社長は「名義を貸した運転者の所在は行方不明。おそらくどこかの解体業者に廃車手続きを任したのだろうが、手続きが終わっていなかった。年14.6%の延滞税はこたえる」と嘆いていた。
税金問題に詳しい関係者は「今までこんなことはなかったが、2?3年前から取り立てが厳しくなっている。お上の命令で、赤字事業部門の穴埋めのため、自治体は法人も個人もすべて税金を滞納しているところの掘り起こしを行っており、今回のように突然の差し押さえは珍しくない。公的機関は民間と異なり、本人の同意なしに差し押さえの手続きが容易にできる」と事情を説明する。
また、廃車手続きについて「今はリサイクル法の絡みで手続きしてくれるようだが、昔は解体業者は処分だけ行って、廃車手続きを怠るところも少なくなかったようだ。とにかく一時抹消をやらないと自動車税は永遠にかかる仕組みになっている。ナンバープレートを返さない限り請求は続く。自治体によって対応は異なるが、一括でまとめて請求するなど容赦しないところもある。自治体は予告通知を必ず出しているが、そのときに相談に行ったら利息がつかずに分割で払うことができる。とにかく早く自治体に行って督促状、延滞税をストップさせること」とアドバイスする。
自動車税については時効があり、法律で5年と定められている。しかし、自治体に聞くと「5年の時効成立は自治体側で、ほったらかしの状態、つまり何の督促もしないなどの状態が5年続いたときに成立するのであって、通常はいろんな方法で、リセットされ、再び時効が5年伸びる」と説明する。
税金の一部納付や差し押さえを受けると、承認行為と見なされ自動車税はリセットされる。また、時効前に督促状を送付すれば、5年の時効は延長される。つまり自治体側の働きかけが続く限り、永遠に課税されるのである。(大塚 仁)
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