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北海道の運送事業者 元請け、下請けの不幸な関係
2012年11月5日
トラック運送業界では、元請けと下請けの協力関係が重要だが、信頼関係が築けない場合もある。時には、お互い貶し合いながら仕事のやり取りをするという不幸も起きている。トラック約60台を持つ札幌市内の中小運送事業者は、元請けを「自分たちで出来ないから、下請けである我々に仕事を回している存在」として見ている。
取引の中で、腹に据えかねる扱いを受けることもあり、「自分たちでは汗水を流さず、口利きをしているだけで偉そうにしている。荷主から初めの運賃を聞くと、我々が一生懸命働いて稼ぐ利益より、元請けの手数料の利益の方がずっといい。仕事をもらっている立場だが、正直言って彼らがいなければ、荷主の輸送コストは下げられる」と断言する。「元請けは、下請けに仕事を与えているという意識なのだろうが、悪条件でも実運送を行う我々がいなければ、自分たちの存在価値がないということを真剣に考えていない」と話している。一方で、この中小事業者と取引のある同市内の大手物流企業グループの会社役員は、下請けのレベルの低さを嘆いている。
「下請け事業者のほとんどは、荷主業界の情報を積極的に仕入れようとせず勉強不足で、自分たちが行っている仕事の動向を真剣に考えていない。こっちは危機感を持って荷主と接しているが、彼らは黙っていても仕事は同じ条件で来るものと考え、少しでも条件が悪くなれば、不満を溜め込む。少しはこっちの力になるようなアイデアを持ってきて欲しい」と指摘する。
また、車両ごとや日次などの収益の把握を行っていないため、「いまだにドンブリ勘定が続いている。それで苦しいと言っており、物流業はレベルが低いと言われる原因が自分たちにあると認識していないようだ。彼らとは話が合わないので、個人的な付き合いはしないようにしている」と厳しい口調で話している。
両者ともそれぞれ言い分や苦労があるが、それを解消せずにお互いを見下すような姿勢で仕事をしているようでは、とてもパートナーとは呼べない。しかし、このような不幸な関係は、決して珍しいものではないのかもしれない。(玉島雅基)
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