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全ト協が30日にWG 「標準引越運送約款」見直しへ
2012年11月9日
全ト協引越部会(鈴木一末部会長)は30日、「標準引越運送約款」の見直しを検討するためのワーキンググループ(WG)を設置し、初会合を開く。東ト協引越専門部会(五十嵐良夫部会長)が部会員を対象に行ったアンケート調査の結果、「消費者保護に偏り過ぎ」として約款改正を要望する意見が多かったことから、全ト協に対応を委ねていたもので、全ト協でも独自に調査を行ってきた。WGには国交省担当官のほか学識経験者や法律専門家、消費者代表らも参加。座長には野尻俊明流通経済大学教授が就任するとみられる。
現行の引越約款は制定から20年以上が経過。東ト協は「顧客ニーズの多様化や高度化などから現状の引越輸送の実態とは、かけ離れた状態にある」として今年3月、星野良三全ト協会長に約款改正に向けた対応を求めた。現行約款で、引越事業者の多くが指摘するのがキャンセル時の「手数料」。「前日」の場合で、見積書に記載した運賃の「10%以内」、「当日」は同「20%以内」とする規定について、現場の作業実態や、悪質な顧客による一方的なキャンセルの実情、また他産業のキャンセル料との比較などから「実態にそぐわない」との意見が多数を占める。
東ト協では、「前日」で「見積書に記載した運賃プラス作業員料の合計額の30%以内」、「当日」は同「50%以内」に改正するよう提案。現行「請求しません」と規定する「内金・手付金」は「事前に申込者の了解を得た場合」に限り、請求できるようにするほか、「見積もりの下見に要した費用」も了解を得ればもらえるようにするなど、事業者の声を尊重した内容に改めることを強く要求。また「消費者保護の観点から」として、全ト協の引越管理者講習の受講を約款で義務付けることも求めている。
当初、こうした要望が伝えられた国交省は「約款改正を目指すなら、東京だけでなく、全国の引越事業者の声の裏付けが必要」と指摘したため、全ト協に対応が委ねられた。全ト協引越部会の副部会長で分科委員会委員長も兼ねる五十嵐氏は、東ト協引越専門部会の総会(6月)で「自分が部会長の任期中に約款改正の筋道をつけたい」と強調していた。
約款改正に向け、ようやくWGが動き出すが、「消費者保護の偏り」はどの程度修正できるのか。現在進めている「引越安心マーク制度」との整合性、積合せ事業者への対応など課題が山積する中、「公平で、公正な約款」への改正に全国の引越事業者が期待を寄せている。(土居忠幸)
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