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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(403)コミュニケーションの大切さ―2
2022年12月8日
話術は「和術」ということである。経営目標に向かってやる気を起こさせ、一人ひとりの働きがいを充実していくうえで、今まで述べてきたように会議や面談のコミュニケーション技術は重要である。
その際、「和術」ということで、組織のチームワークを作り、団結させていくことで、決して社長の独演会になってはならない。それではかえってチームワークにとってマイナスとなる。
コミュニケーションの基礎にあるのは信頼感である。信じ合い頼り合う気持ちがあってこそ報連相は中身のあるものとなる。
この信頼関係の形成という具体例として、松下幸之助さんの創業時代のエピソードを紹介したい。
創業時は、アタッチメントプラグの製作から始まり、このアタッチメントプラグの煉物(ねりもの)の原料の製法と言うのは、業界では秘密にしていた。
ところが松下幸之助さんは、今日入った職工さんにもその煉物の製法を教えた。
同業者は、そうした姿勢に対して「松下さん、危険だよ。今日入った人に、そんな重要な秘密の仕事を教えることは、広く技術を公開することになって、勢い同業者も増える恐れもあり、損害を招くよ」と忠告した。
これに対して松下幸之助さんは、次のように答えたという。
「そう心配はいらないと思うよ。その仕事が秘密の仕事であることを話して依頼しておけば、そう恐れるほど、むやみにそれを裏切ったり、またみだりにそれを他に漏らしたりするものではない。
要はお互いに〝相当信頼〟を持つということであると自分は考えるから、1つのことに囚われて、いじましい経営ぶりをすることは、ただ、その事業を伸ばすゆえんでないばかりでなく、また人材を作る道でもないと自分は考えているから、そう好んで開放するわけではないが、相当この人物は、と思う人であれば、今日入った新前の職工さんにもその衝に当たらすべきなりと考えている」(「私の生き方考え方」松下幸之助著より)
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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