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ブログ・小山 雅敬
第250回:歩合給の計算基準にどの指標を使えばよいか
2023年5月12日
【質問】現在、2024年対策として賃金体系の見直しを行っており、歩合給の計算基準を改定したいと思っています。一般的に同業他社はどのような歩合給を導入しているのか教えてください。
最近、2024年対策の一環でドライバーの定着促進のために賃金体系を見直し、新たな歩合基準を新設して賃金水準の引上げを図る会社が見られます。
歩合給は労働基準法の出来高払制賃金にあたりますが、計算の基準に関して法の定めは一切ありません。成果や実績に応じて計算し、業績により変動する指標であれば、労使の合意により自由に決めることができます。
運送会社の場合は、
①売り上げ
②走行距離
③積み降ろし回数
④立寄り件数
⑤運行回数
⑥積載量
⑦作業回数、など様々な計算基準があります。
一般的に最も多く使われているのは①の売上基準です。売り上げを歩合計算に使う場合は荷主から収受する実運賃をそのまま使わず、社内運賃に置き換えて計算すると運用がしやすくなります。
例えばA荷主の運賃が一日3万2000円であり、同様の仕事に対するB荷主の運賃が3万4000円だった時、歩合計算は両社とも平均の3万3000円を収受したものとみなして計算します。
社内運賃を使うことで仕事の選り好みを防止し、配車もしやすくなります。
②の走行距離を使う場合は、㌔当たり3円程度に単価設定すると妥当なウェイトになります。㌔単価を高めに設定すると遠回りや道に迷うほうが高賃金になりますので注意すべきです。
③の積み降ろし回数は、ぜひ導入すべき指標です。積み降ろし作業はドライバーの負担感に最も影響するため、指標として導入すると納得感が高まります。手積み手卸し作業の単価は、機械積みの倍額程度に設定すると良いでしょう。
④の立ち寄り件数は、主に長距離運行のルート別単価を補完する指標であり、長距離運行の途中で数か所立ち寄り、積み下ろし作業を行う場合に一か所当たり500円程度を加算するものです。
⑤の運行回数は、車種車格別に運行回数ごとの計算を行うことが必要です。一日5000円などと一日単位で計算することはできません。
⑥の積載量は、ダンプの砕石や砂利運搬等に立米単位で歩合計算する場合に使われます。
⑦の作業回数は、例えば、洗車作業1回500円程度、新人の添乗指導1回3000円程度を支給する場合に使う指標です。
以上の指標から業績を相互に補完する3つ程度の指標を組み合わせると、比較的バランスの良い歩合給制度になります。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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