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ブログ・野口 誠一
第393回:大不況で「腹くくる」
2012年12月31日
(Aさんには厳しい経営に鍛えられた独特の嗅覚がある。そのセンサーがしきりに危険信号を発して注意を促す)
──2007年、米国の住宅バブル崩壊とサブプライムローン問題。08年、リーマン・ショック。この「100年に一度」の危機で、世界的リセッション(景気後退)が始まりました。私の会社も受注が激減、翌09年2月の本決算で、4500万円の赤字転落を余儀なくされました。
私は、この経験したこともない「100年に一度」を前にして、身震いを禁じ得ませんでした。今までとはまるで異なる世界同時不況というのですから、正直のところ、自分の経営もここまでかと思いました。
それでも、もう少し様子をみようと頑張ってみましたが、これがどうにもなりません。ズルズルと落ち込む一方です。そしてついに、腹をくくる日がやってきました。
09年7月15日、私は重大な決意をもって家族会議を開きました。といっても私と家内、息子、そして税理士の4人だけです。その席で私は経営の現状と、これからの経営環境を説明し、次の半期で一定の数字に達しなければ、「廃業」を宣言しました。
その一定の数字とは、10年2月本決算の赤字が、想定の5500万円以内にとどまること、翌3月からの月次が黒字かプラス・マイナスゼロになること、そして8月の上半期決算では、完全に黒字が定着していること、その三つです。私はこの3条件を会議に提示し、了承を得て、退路を絶ちました。すなわち、この3条件がととのわない限り、廃業せざるを得なくなったわけです。
(Aさんは腹をくくり、廃業も視野に入れ、世界同時不況に対応していく)この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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