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ブログ・湯浅 和夫
最終回: 物流のあるべき姿を明らかに
2007年3月22日
管理をするうえで必要なことは、現在の状況を客観的につかめること(見える化)と、管理の目標となる物流の「あるべき姿」が、現状と対比できる形で明確に描かれていることである。後者は特に大切である。あるべき姿を描くための切り口は3つある。「採算」「責任区分」「作業時間」である。
「採算」は、物流サービスのあるべき姿を描くための判断基準である 。物流ABCを使うと、物流サービスの負荷を正確に反映した形で顧客別の物流コストを計算できる。注文が細かく毎日来る顧客や、流通加工や事務処理で手間のかかる作業を要する顧客のコストは、そうでない顧客よりも高く設定される。
例えば、「物流コストは売り上げの5%以下にする」という基準を決めたら、超えている顧客については、コストを高くしている物流サービスをやらないことに取り組む。注文の頻度をまとめたり、端数が出ないような一定数の倍数注文にしたりしてもらえないか交渉し、付加的な作業はなくすか対価をもらう方向で見直す。いずれもムリな顧客には、基準コストとの差額を手数料の形でもらうようにする。基準を満たす顧客には何らかのキックバックをするというインセンティブのつけ方もある。
「責任区分」は、物流コスト管理体制のあるべき姿を示すキーワードである。物流部に管理できるのはアクティビティの単価のみ。処理量は発生源となる部門が責任を持たなければならない。先に述べた採算の管理でいえば、取引条件の見直しや手数料、インセンティブを考えるのは、すべて営業部門が責任を持つべき事項である。
物流部門が責任を持つべき単価、すなわち個々の作業の効率について、あるべき姿を示してくれるのが、「時間」である。アクティビティごとに、最も無駄なく作業した場合の時間である標準時間を計測し、これで作業できることを目標として日々の作業管理を行うのが、物流部門の仕事となる(おわり)この記事へのコメント
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筆者紹介
湯浅 和夫
株式会社湯浅コンサルティング 代表取締役
1946年 埼玉県生まれ
1969年 早稲田大学第一商学部卒業
1971年 同大学大学院商学研究科修士課程修了
1971年 日通総合研究所入社
1996年 同社経営コンサルティング部長
1999年 同社取締役
2001年 同社常務取締役
2004年 3月、同社を退職
2004年 4月、株式会社湯浅コンサルティングを設立し、代表取締役に就任。現在に至る。 -
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