奈良三笠運輸（中尾安治社長、奈良市）では会社のイメージキャラクターである「ナミットちゃん」を作成し、７月からトラックにデザインしている。天使をイメージした親しみやすいキャラクターは顧客から好評で、新規の取引も増え始めているという。
　実はこのナミットちゃんは、中尾社長の孫である中尾茜（あかね）ちゃん（小学５年生）が考え出したもの。

　今回の不況で同社も輸送需要が大幅に落ち込み、社長が頭を抱えていたところ、絵を描くのが得意な茜ちゃんが「おじいちゃん、この絵を使って」と差し出したのがナミットちゃんだった。
　「これだ！」と強い衝撃を受けた社長は、会社のマークへの採用を即決。プロのデザイナーが若干の手直しを施し、会社のキャラクターにした。
　その表現力にプロのデザイナーも驚いたというナミットちゃん。天使の帽子は「安全」、天使の羽は「どこへでも」、荷物のリボンは「真心をこめて」の意味が込められている。
現在、２ｔトラックを中心にナミットちゃんが描かれているが、得意先や子供らに好評で、不思議なことに新規の仕事も舞い込むようになった。
　同社では自動車部品・住宅資材などを中心に事業展開しているが、このほどアパレル商品の物流加工を始めるなど新たな仕事に取り組んでいる。また、整備工場を子会社化し他社の車も扱い、通信販売事業に乗り出すなど確実に変化が出始めている。
　中尾社長は「かつてない不況の中で、ナミットちゃんは会社に新しい風を巻き起こしている。親しみやすく、心に触れる存在として大切にしていきたい」と話している。