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物流ニュース
ドライバー不足からリードタイム延長の動きも
2019年4月15日
従来ならサービス向上のために「リードタイム」は短縮して当たり前だった。いかに短い時間で商品を顧客の元へ届けるか、在庫の負担を少なくすることができるかが問われていた。現在でも、その考え方は普通であり、立地の良い場所に物流センターを建設するのも「リードタイムを短縮」するために他ならない。しかし、一方でトラックドライバー不足から「リードタイムを延長する」という動きも出ている。
5月のゴールデンウィーク10連休から期間限定でリードタイムを延長し、8月からは恒久化するというのは、味の素(東京都中央区)。「翌日納品だったエリアを翌々日納品に変更する。これは人手不足によるトラックドライバー不足対策。トラックの手配が厳しくなっていることから、1日余分にいただければ、手配も安定することができ、運送会社も従業員の労働環境を改善させることができる」と説明する。
「このような課題の検討会が業界内に複数あり、その中のアイデアの一つ。繁忙期にリードタイムを延長させる動きは他社にもあり、メーカーと運送事業者双方にメリットがあると確認できたことでスタートさせる。運送事業者からの要望というよりは、メーカーが率先して実施している感じ」という。
また、運送事業者からの要望で「リードタイムの延長」が実現したのは、日本出版取次協会(同千代田区)。4月1日から中国地方・九州地方の輸送スケジュールを変更し、中国地方では雑誌・書籍ともに発売日が1日遅くなる。九州地方では雑誌の発売日が変更され、書籍の発売日が1日遅くなる。
また、モーダルシフトを推進しているJR貨物(同渋谷区)に「荷主にリードタイムの延長を要望したことがあるか」と質問したが「調査したとしても、お話しできるかどうかはわからない」としている。
国交省の「物量の平準化による物流生産性向上方策検討会」(2018年3月)の報告書によると、各業界でさまざまなリードタイム延長の取り組みが行われている。「週6日入荷から週3日入荷による運行回数の削減をした」という食品メーカー。逆にリードタイムを短縮して平準化を図る倉庫会社では、「現状は午前10時までに受注が確定したものを、翌日に配送するオペレーションだが、これを強制的に受注当日の午後納品にすることで、車両の回転率を高めるのが狙い。注文の約7割が午前中の配送指定とバランスが偏っていたので、その一部を前日に配送した」としている。「特段、急いでいないにもかかわらず、当日や翌日に届いているという過剰サービスの可能性を見直し、急いでいない場合は『急ぎません』割引を導入している」というネット通販業者の取り組みも見られた。
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