世界同時不況から、売り上げが大幅に減少し、決算がずっと赤字続きの会社があります。会社の資金繰りは毎月綱渡り状態で、売り上げから仕入れ、外注費、諸経費を差し引くと、社長の給料分がないという状況です。

　社長は昔、個人で商売をして数人の社員を雇っていました。売り上げが増えて規模も大きくなったので、有限会社を設立して法人化し、社長も結構いい給料をとっていた時代もありました。

　しかし、今年の決算では資金繰りが厳しく、社長は自身の給料を毎月２０万円に減らして、年間３００万円の給料にしましたが、決算では赤字が約３００万円発生し、ちょうど社長の給料分が赤字という内容です。加えて、会社の売り上げと借金の額がほぼ一緒という結果でした。

　赤字決算でも税務署に支払う消費税は発生します。いくら売り上げ代金と一緒に回収しているといっても、消費税を運転資金に使っていますからなかなか税務署に払えません。

　「何とかしたい」と社長は悩みますが、一向に売り上げが回復する気配はありません。とうとう社長は有限会社を閉めて、個人事業に戻ることにしました。?有限会社なら赤字でも最低７万円の税金が必要だが、個人事業なら４０００円?というのが大きな理由です。

　これまでは生活費を家に持って帰れない日々だった社長ですが、これからは「両親と同居して生活費を助けてもらい、何とか凌いで会社も自分も復活したい」と話していました。