各地で「史上最も熱い６月」となった今年は、節電へのプレッシャーと重なった。６月下旬の午後、兵庫県内のとある事業所でもエアコンが切られていた。

　この事業所は倉庫の中に入れ子のように建てられているため、屋根は直射日光にさらされてはいない。２０坪弱と思われる１階には数人の従業員がおり、扇風機は回っていた。事業所に入ると、入った瞬間からむっとした湿気が伝わってきた。パソコンなどの電子機器も数台作動しており、蛍光灯による照明もあるから当然、発熱しているのだろう。事務室内にあるデジタル式の寒暖計は３３度と表示されていた。

　倉庫内の別棟で稼働する冷蔵倉庫の電源を切るわけにはいかず、「せめて事務所内だけでも」。事務所内のエアコンを切ったのは、この事業所でできる節電を唯一具体化するものだったのだ。汗をふきながら頑張る社長であった。（西口訓生）