長い間、税務調査がなかったのですが、久々に受けた会社の話です。

　会社の帳簿関係はきっちりしており、前回の税務調査はすんなり終わっていました。社長は今回も問題ないだろうと思っていたのですが、一つだけ問題点を指摘され調査が長引きました。それは、支給していた宿直手当でした。

　宿直手当は１回４０００円までは給料に加算しても税金がかかりませんから、会社の給料計算は非課税扱いになっています。税務調査に来た税務署員が、「宿直手当が支給されていますが、宿直をされている間、社員らは何をされていますか？」と質問してきました。社長は「私は家で睡眠をとっていますから、夜中に社員が何をしているか見たことがありません。社員は業務の都合上、宿直をしないといけませんので会社にいますが、寝ている者もあれば私用の雑用をしている者もあるでしょう」と答えました。社長からすれば、自分の答えはごく当たり前の答えと思っていたのですが、これがいけなかったようです。

　税務署員は「会社は宿直手当以外に夜勤手当も支給しています。宿直で私用の雑用をしていたりするのであれば、非課税扱いにできないのではないですか。夜勤手当の延長でしょう」というのです。

　社長は、労働基準監督署に届け出もして間違いなく宿直をしている、と一生懸命説明しました。そのおかげで今回は指導事項となり追徴金はありませんでしたが、税務調査の質問の答え方というのは本当に難しい、と嘆いていました。