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コンプラ徹底で仕事獲得 荷主との信頼築き大手退ける
2012年4月17日
「昔は月100万円を稼ぐこともざらだった」という4トン車。しかし、競争激化による運賃の下落で今では70万円に満たない運賃も出回っている。混載などの工夫で100万円を稼ぐこともあるようだが、月100万円という売り上げは、至難の業になっているのが現状だ。こうした厳しい状況にあっても、4トン車で月100万円以上を売り上げる事業者も存在する。過重労働などの法令違反に抵触することなくその売り上げを達成している。そこには、コンプライアンスを重視する姿勢と、それによる荷主からの絶対的な信頼がある。
首都圏で一般貨物を扱う事業者は、2年前から取引する荷主から昨年夏に新しい仕事の見積もり依頼を受けたという。荷主は、同社以外にも複数の事業者と取引しており、当然その案件は、同社以外の事業者にも見積もり依頼の打診があった。ほかの事業者はいずれも規模が大きく、その中には大手といわれる事業者もいたという。「担当者との付き合いの中で、日頃から頼りにされていることは感じていた」という同社社長だったが、「大手を相手に勝てると思わなかった」と振り返る。同社は十分に採算の合う適正な運賃を記した見積もりを作成し、荷主に提出した。あとでわかったことだが、他社のどこよりも高い見積もりだったという。それにもかかわらず荷主は同社を選んだ。社長は予想外の事態に最初は驚きを隠せなかった。「いくら信頼を得ていても、大手を相手にうちが勝てるとは思わなかった」。
その後、詳細が決まり2月からこの案件の業務がスタートした。写真は、同社が作成した3月分の請求書だが、請求金額は基本金額が110万円、時間外として2万2000円、高速代として10万3280円、消費税として5万6100円の合計128万1380円となっている。
平均拘束時間が13時間15分、平均走行距離が約300キロと多少は長いものの、特筆すべきは21日という稼働日数である。休みなく働いた結果の運賃ではなく、週休2日の仕事に対する運賃だ。
新しく始まる仕事は荷主にとってもミスの許されないもので、業者の選定には慎重になっていた。その中で同社が選ばれただけに「妥協せずにコンプライアンスの徹底を図ってきてよかった」と社長は振り返る。「いい運賃をもらっている以上、下手なことはできない。ミスのないよう正確な輸配送を心掛けていきたい」と話す。(高田直樹)
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