「質の高いサービスを提供するには、従業員の満足度を高め、会社への帰属意識を高めることが必要」。頭では分かっていても、実際に取り組む会社はそれほど多くない。北海道内の中小運送事業者は、従業員の結束を強めるため、ことあるごとにバドミントン大会、卓球大会、飲み会といった社内イベントを開催している。このようなイベントを「面倒だ」「参加したくない」と感じる従業員は自然と去り、イベント好きな従業員が残っていくという。

　従業員の誕生日には、必ずケーキやクラッカーを用意し、「サプライズのお祝い」を実行する。もはや恒例なので従業員に読まれてしまっているが、最近では「打ち合わせをすると見せかけてお祝いをしたり、突然、ＢＧＭを大音響で流したり、少し日にちをずらしてお祝いしたり」と、あの手この手で演出している。全従業員からのメッセージ入りのＤＶＤを配布することもある。

　同僚を驚かせ、喜ばせようと、従業員が色々と知恵をしぼっており、中には感激して涙を浮かべる者もいるという。社長は「これだけでは、ただの仲良しクラブと思われるかもしれないが、仕事に対してはみんなシビアに考えてくれている。『仲良しクラブの会社にはなるな』『お互いに仕事を通じて高め合おう』『利益を確保するために知恵を出そう』と常日頃から、口を酸っぱくしていっている。これが経営者の最も重要な仕事だ」と説明している。（玉島雅基）