会社を設立して、ちょうど１年になる社長が、何とかして金融機関から借金をしたいと願っています。借金をしたいという理由は、毎月資金繰りに苦しんでいるのが原因です。

　資金繰りが苦しいのは、一番大きな得意先の売り上げ代金が振り込まれるのが、翌々月の１０日であるのに対し、社員の給料支払いが、その月の月末にしているところによります。だったら社員の給料の支払いを翌々月の１０日にすればいいのでしょうが、月末に支払わないと社員が辞めていくことがある、とのことでした。

　２番目の理由は、自己資金を持たずして独立したことでした。僅かな蓄えを会社の資本金に投入し、開業時に金融機関から開業資金としての融資を受けて設立した会社ですから、開業準備資金と今日までの運転資金でお金はなくなっています。そんな状態ですから、１年目の決算も赤字です。

　社長は、赤字決算で借金できるかどうか心配だったので、金融機関の担当者に思い切って聞いてみました。意外にも、「会社設立１年目は赤字なのが普通ですから借り入れできます」との答えでした。半信半疑だったので、別の金融機関にも赤字決算で大丈夫か、と相談しました。しかし、その答えも「設立１年目は借り入れできます」とのことでした。

　社長は、赤字決算で税金を払わず借金できるなら助かる、と思いました。決算は交際費を減らせば黒字になります。赤字決算では少額の借金しかできないと思い、借金をするために黒字決算にすることとしました。