個人事業から法人成りして４年目になる会社があります。会社は社長さん１人で、従業員はいません。売り上げも消費税を払う義務がないほどの売り上げでした。しかし社長さんは今、消費税の問題で頭を抱えています。

　その会社は完璧な下請け業者であり、自分だけで製品を開発したり商品を売って歩いているわけではありません。得意先の中に入り込んで、そこの従業員と同じように作業をして、そこの従業員ら全員が持っていない技術を社長さんだけが持っている、というのが会社の実際のところです。ですから毎月の売り上げはほぼ一定しており、年間１０００万円を超えて消費税を支払う義務がありませんでした。ところが、昨年に臨時で仕事の依頼がありました。この請求代金を従来の売り上げに足すと、年間売り上げが１０００万円を超えることになり、消費税を支払う義務が生じます。超える金額はほんの数万円です。

　売り上げ分より支払う消費税が高いというのが、社長さんは悔しくてたまりません。払いたくないと悩んでいると丁度、得意先から地方の支店の現場が困っているので出向して欲しいとの依頼がありました。これが社長さんの悩みを一気に解決しました。

　設立して４年、消費税の支払い義務を負っている会社を解散させて閉鎖してしまうと、営業活動なしで解散・閉鎖とかさなって、消費税を払うことなしとなります。これから出向する地方で新会社を設立し、年間１０００万円以下の売り上げで商売をしていけば、消費税を払わなくてよくなる、と喜んでいました。