バブル経済の崩壊やリーマンショックでも赤字を出さなかったが、今回のコロナ不況や燃料価格高騰などによって、初めて赤字決算に至ったという運送会社がある。

大阪府堺市で海コンや鋼材輸送を展開する運送Ａ社の経営者は、「阪神大震災で関西経済が大きなダメージを受けた際も赤字にはならなかった。バブル経済崩壊でもリーマンショックでも赤字を出さなかったが、今年３月の決算で初めて出した。それも大きな金額での赤字」と悔しさをにじませる。

「物量の減少に加え、燃料高騰と経費増が売り上げに影響を与えている」という。「燃料だけでも昨年だけで４０００万円程度の負担増で赤字は仕方ないのかとも思うが、今までに経験したことがない厳しい経営環境にショックを受けている」と話す。

千葉県市川市で建設資材輸送を展開する運送Ｂ社でも、「リーマンショックの時も台数を制限して輸送効率の向上に懸命に取り組み、赤字を出さずに経営してきた。しかし、コロナによる経済低迷や燃料価格の異常な高騰から、今年３月の決算では赤字となった」という。

「燃料は大型などのトラック１０台程度で毎月５０万円超の負担増となり、昨年１年間で６００万円のコストアップとなった」。さらに、「建設関係もコロナの影響が出て荷動きが悪く、小規模ながら赤字になった」という。

「利益が少ないなかで、経済低迷と燃料高騰という状況では赤字も仕方なかったのかと自問自答している」と語った。