株式会社を設立して８回目の決算をする会社があります。設立当初は売り上げが順調でしたが、リーマン・ショックが発生したころから資金繰りが苦しくなってきました。しかし、金融機関からの融資の問題があるので、決算はわずかに黒字にしています。利益に対する税金もわずかなので現金で払っています。

　社長がいつも決算で抱える問題は、決算で計算される消費税が１００万円を超えてしまい、一度で払えないということです。売り上げのお金を集金してくるときに一緒に集金してくるので、消費税分を除いておけばいいのですが、資金繰りが苦しく、そんな余裕はありません。今までは、それでも何とかしてお金をかき集めて消費税を支払ってきましたが、今年はお金をかき集めることができませんでした。

　そこで、初めて税務署に赴き、消費税の分割払いを申し出ました。対応に出た税務署の職員は社長の苦しい資金繰りの話を一応は聞いてくれたのですが、「確認したいので会社の帳面や預金通帳と資金繰り表を見せて欲しい」と言われました。小さな会社でどんぶり勘定でしたから、資金繰り表はありませんでした。社長は必死で資金繰り表を作成して税務署に持って行き、一生懸命説明しました。そして、何とか分割払いを認めてもらったとのことです。

　社長は、「逃げも隠れもせず分割払いで払うと言っているのでもっと簡単に認めてもらえると思っていた。こんなにしんどいとは思わなかった」と話してくれました。