距離が最も遠くて、価格が最も安い、第１段階の経理作業の委託方法は「インターネットで探した経理作業の業者さん」でした。価格は１億円規模で１万─２万円くらい。そして第２段階は、「あなたの会社のご近所の税理士さん」で、価格は３万─５万円です。第１段階に比べると、距離がぐっと近づきましたが、価格は３倍になりました。

　次に第３段階です。これが「あなたの会社の事務員さん」です。月８万─１０万円のお給料を払って、経理事務をしてもらいます。顧問の税理士さんよりも、更に距離は近くなり、価格は高くなっています。第１段階と比べると、価格は実に４─10倍になってしまいました。
　しかし、簿記の資格を持っていたとしても、事務員さんはシロウトです。価格が高くても、税理士さんより仕事のクオリティーは落ちるのです。税務調査にも対応できませんし、税務のアドバイスもしてくれません。教育だってしなくてはなりません。
　もちろん、あなたが教育に経費と人員を回すほど資金や人材に余裕のある企業なら、それでもいいと思います。しかし、もしそうでないのなら、ここに費用をかけるべきではありません。
　ところが、このようにお話しすると、「いやいや、高橋さん、地元の雇用の機会を拡大するのも、われわれ企業の役割じゃないの」という人がいます。確かに、「地元のため」という言葉は、とても聞こえがいいです。しかし今、月末の資金繰りに頭を悩ませている状態なら、そんなきれいごとを言っている場合ではありません。倒産したら、採用した人員だって失業することになるのですから。
　ところが実は、この第３段階よりも、もっと近くて高い経理が存在するのです…。