定着率を上げるためには、社員を（１）会社好き（２）仕事好き（３）仲間好き──にすることが重要です。会社、仕事、仲間のどれかを好きになってもらうように努力するのではなく、このうちの、どれか一つでも欠けると退職の要因となるので、全てを網羅しないといけません。
　たとえばドライバーで言うと、仕事（トラックの運転）は好きだけれども、会社の雰囲気や方針に合わなければ、他の運送会社に移るでしょう。また、同僚や管理者との人間関係がうまくいかなければ、退職に至ります。特に、ドライバー職の場合、他の運送会社でもやる仕事の内容は、それほど大きく変わらないことも多いでしょう。そのため、会社好きや仲間好きになってもらうための取り組みに注力しないといけません。

　各社員を上述の三つの視点から見てみると、退職しないためにはそれぞれ、どの部分を重点的にフォローすればいいのか、優先順位をつけやすいでしょう。
　さらに言うと、これは社員本人だけの話ではありません。定着率は仕事や会社に対して家族の理解があるかどうかで大きく変わってきます。これからの時代、家族をどう味方につけるか、会社好きになってもらうかが、ますます重要なポイントとなってきます。
　実際に、家族との接点を持つために（１）配偶者の誕生日にプレゼントを贈る（２）子どもの入学祝い・進学祝いを贈る（３）家族参加型のイベント（ＢＢＱやボウリング大会、社員総会）を実施する（４）家族にも読んでもらうことを意識した社内報を発行する（５）家族向けの職場見学会を実施する──などの取り組みに注力している企業も増えてきています。
　社員の家族が、その会社の社長や同僚のことを知っていて、好意的な印象を持ってくれている、というのは退職の抑止要因となってくれるでしょう。
（船井総合研究所・河内谷庸高）
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※記事は15年3月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。