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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(311)人材育成について(14)A社の事例(3)

    2020年11月2日

     
     
     

     ・「扇子商法」に見る人材育成の考え方

     

     ⑤「大切な息子を預けたいというのは、よくよく、この和田哲を見込んでのことやろ。それだけでも有難いと思わんならん。これも一つも陰得やさかいに、積善徳行には2つあって、積んだ徳に対する応報を求める陽徳と、一切を求めぬ陰徳がある。人間すべからく陰徳を積むべきで、さもしい陽徳は避けねばならぬ」。

     人を育てることに企業としての使命感をもつ。これが陰徳である。「我社にはロクな人材が入ってこない」と嘆くのではなく、「よく縁あって入ってくれた」と感謝の気持ちをもつ。見返りをあてにせず、心から育成を願う。ある経営者云く。

     「研修、研修といってお金を使っても、結局は無駄になることが多いのです。勉強して知恵がつくと、社員が賢くなってやめてしまうのです。〝うちの会社よりもっといい給料のとれる会社がある〟といって、今までの経験をひっさげて転職してしまうのです。教育研修は空しいもんですよ。お金をつかうだけ無駄というものですよ」。

     この経営者は陽徳タイプである。陰徳タイプでないと人は育たない。自分が楽をしようとして、自己の利益の為にのみ人事育成を考えるのは、邪道というものである。〝働くとは、ハタを楽にする〟ことである。陰徳を積むという人格の向上、人間性の豊かさが大切なのである。

     5つの箇所について取り上げた。これをまとめてみると、人材育成のポイントは、次の通りである。

     すなわち、しつけをきっちり教え、5Sという整理、整頓、清掃、清潔、しつけの基本を具体的に、繰り返し、繰り返し、熱意をもって体に染み込むまで教育する。

     そして、千里の道も一歩からで、小さいことを疎かにせず、小さいことの積み重ねが大を成す。〝小を積んで大を成す〟そして「自分がやらないといかん」との仕事に対する主人公意識が、人を成長させる。

     それには、少数が精鋭をつくるという厳しい職場環境が必要であり、人材教育の心は、陰徳である。陰徳という人間性の豊かさを獲得してこそ、人が育つ社風となる。

     関西商法、いわゆる船場商法の和田哲の「扇子商法」から、人材育成ノウハウについて述べてきた。

     不況風がふきつく今こそ、経営の基本に立脚すべきで、基本とは、人材育成への取組みである。

     ・「扇子商法」に見る人材育成の考え方

     ⑤「大切な息子を預けたいというのは、よくよく、この和田哲を見込んでのことやろ。それだけでも有難いと思わんならん。これも一つも陰得やさかいに、積善徳行には2つあって、積んだ徳に対する応報を求める陽徳と、一切を求めぬ陰徳がある。人間すべからく陰徳を積むべきで、さもしい陽徳は避けねばならぬ」。

     人を育てることに企業としての使命感をもつ。これが陰徳である。「我社にはロクな人材が入ってこない」と嘆くのではなく、「よく縁あって入ってくれた」と感謝の気持ちをもつ。見返りをあてにせず、心から育成を願う。ある経営者云く。

     「研修、研修といってお金を使っても、結局は無駄になることが多いのです。勉強して知恵がつくと、社員が賢くなってやめてしまうのです。〝うちの会社よりもっといい給料のとれる会社がある〟といって、今までの経験をひっさげて転職してしまうのです。教育研修は空しいもんですよ。お金をつかうだけ無駄というものですよ」。

     この経営者は陽徳タイプである。陰徳タイプでないと人は育たない。自分が楽をしようとして、自己の利益の為にのみ人事育成を考えるのは、邪道というものである。〝働くとは、ハタを楽にする〟ことである。陰徳を積むという人格の向上、人間性の豊かさが大切なのである。

     5つの箇所について取り上げた。これをまとめてみると、人材育成のポイントは、次の通りである。

     すなわち、しつけをきっちり教え、5Sという整理、整頓、清掃、清潔、しつけの基本を具体的に、繰り返し、繰り返し、熱意をもって体に染み込むまで教育する。

     そして、千里の道も一歩からで、小さいことを疎かにせず、小さいことの積み重ねが大を成す。〝小を積んで大を成す〟そして「自分がやらないといかん」との仕事に対する主人公意識が、人を成長させる。

     それには、少数が精鋭をつくるという厳しい職場環境が必要であり、人材教育の心は、陰徳である。陰徳という人間性の豊かさを獲得してこそ、人が育つ社風となる。

     関西商法、いわゆる船場商法の和田哲の「扇子商法」から、人材育成ノウハウについて述べてきた。

     不況風がふきつく今こそ、経営の基本に立脚すべきで、基本とは、人材育成への取組みである。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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