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運送会社
敏腕配車マンがITベンチャーに転身!
2016年8月22日
印刷ECのラクスル(松本恭攝社長、東京都品川区)が展開する運送会社の非稼働時間の有効活用を目指したネット運送・配送サービス「ハコベル」が注目を集めている。同社で営業からシステム改善まで幅広く業務に携わる石川瞬氏に話を聞いた。同氏は、埼玉県戸田市のエーシートランスポート(池永和義社長)で配車担当として活躍し、今年5月にラクスルに転職。前職ではDNA(ドライバーニューディールアソシエーション)が主催する「ドライバー甲子園」に出場した経験を持つ。
同サービスは、荷主がパソコンやスマホから配送を依頼、条件にあったドライバーを選び、予約から支払いまでをサイト上で行えるというもの。運賃は配送距離で料金が決まる距離制と、稼働時間で料金が決まる時間制の2種類を用意。それぞれ車種や時間帯などで自動的に料金が算出される。ドライバー側にはシステムを通してPCやスマホアプリにダイレクトに配送依頼が届く。ドライバーは仕事が入っていない時間帯を有効活用し、稼働率を高めることができる。
配送品質向上のため、利用後に荷主がドライバーを評価する仕組みを設け、優良ドライバーに仕事が集まるようにしている。現在の集荷エリアは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、福岡県。
ーサービス展開について
現在は軽が中心だが、2トン、4トンを拡充し、一般貨物も強化している。アプリだけでなく、パソコン上で操作できるようになり、利便性が向上した。新規登録や資料請求は非常に多い。横のつながりが強い業界のため紹介も多々あり、アポイントはほぼ100%取れている。
ー提案先は
荷主で多いのは、物流部門が専門部署として独立しておらず、担当者が他の業務と兼任されている会社。「ハコベル」を案内すると、求車だけでなく、あらゆる窓口が一本化されることで、見積もりの比較や支払い作業の手間など、見えない部分の効率化が図れると非常に好評。運送会社では、物流子会社など、日々の配車台数が多い現場のサブツールとしてお使い頂いている。登録料や月会費などがないため、受け入れられやすい。
ー強みは
荷主への請求と運送事業者への支払いは当社が間に入って行うため、双方から安心との声を頂いている。システムですべて管理しているため、請求書を発行頂く必要もない。何より、30日サイトでの支払いというのは業界ではなかなかないはず。
ー今後について
サービスをさらに改善し、より簡便にマッチングできるよう、車種や配送フローにも踏み込んだ条件設定を可能にしていく予定。現状でマッチング率は95%以上だが、なかなか決まらない案件に対しては、自分が配車マンだった経験を活かし、登録事業者へ電話を掛けている。ITの横文字が飛び交う会社だが、最終的にはこういった努力をしているところが、面白くもある。
ー前職について
ドライバーを4年経験した後に配車に移った。もともとドライバーを目指していたわけではなく、当時は犬のトレーナーの仕事がメインで、空いた時間を使って稼ごうと考え、ドライバー職を探していた。数社面接を受け、どこも「いつでも来て良いよ」という感じだったが、エーシートランスポートだけが、「片手間でできるほど、運送業は甘くない」と仕事の内容を詳しく厳しく話してくれたことから入社を決めた。2トンからスタートし、4トンにステップアップした。
ー配車マンに
配車担当が取り扱いと自社運行で分かれており、ちょうど取り扱い担当の席が空いたタイミングだったので、そちらを任されることになった。6年間やったが、取り扱いと自社運行で80台以上を管理するようになり、やりがいを感じていた。
ー転職のきっかけは
DNAに参加し、一歩引いて業界を見て、自分のキャリアも改めて考えるようになった。池永社長から常に言われていたのは「自分の利だけ考えていてはいけない」ということ。物流業界をより良いものにしていくために、これまでの知見や経験を生かして、何かできないかと考えるようになった。旧態依然の多層構造をなくし、運送会社と荷主が直接近づける環境を作ることが必要ではないかと考えていた。
ーそこで出会ったのが「ハコベル」
業界紙の記事を読んで、「こんな会社があるのか」と驚いた。「このビジネスモデルを普及させていくことこそ、より良い業界作りにつながるのではないか」と思い、すぐに問い合わせてみた。運送会社とは全くの畑違いのIT系でどうなるのか不安もあったが、実際に担当者に会って話を聞いてみて、「運送業界で新しいビジネスモデルを育てていくんだ」という強い意志に感動した。荷主と実運送の会社を「直接」マッチングできるこのしくみこそ、運送会社にとってのやりがいと利益をもたらし、さらには自分のキャリアも十分に活かせると思い考えがまとまった。
ー周囲の反応は
普通なら時間を掛けて育ててきた配車マンが辞めるのは会社にとっては大きな痛手なはずだが、エーシートランスポートでは池永社長をはじめ幹部の皆さんも自分の思いを理解し、応援してくれた。会社を移ったいまも家族ぐるみでお付き合いいただいており、本当に感謝している。妻も初めは反対したが、最終的には背中を押してくれた。
ー転職後の感想は
スピード感や任される案件など、すべてが想定以上だったが、働きやすい環境でストレスは皆無。仕事に熱中しすぎて、気づいたら「こんな時間だった」ということもしばしばで、毎日が充実し、とても楽しめている。
ー人材を募集している
多くの引き合いにまだまだ対応しきれておらず、待って頂いている状況。
ー業務内容は
営業からシステム改善への提案など幅広いが、まずは従来の配車業務と同じく、電話でのやり取りが中心になる。IT系の会社だが、運送業界で経験のある即戦力を求めている。
ー貴社に合う人物像は
仕事を任され、自分で何かを作り出していく環境を望む人には向いていると思う。言われた通りに動くのが好きな人には合わないかもしれない。
▼ハコベルサービスのご案内
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