-
物流ニュース
持続可能な物流の実現 これからが正念場
2023年5月30日
長時間の荷待ちや契約にない付帯作業等による長時間労働、価格競争に伴う厳しい取引環境・雇用環境など、物流業界における課題が深刻化しており、人手不足の原因となっている。
一方、来年4月からドライバーの時間外労働の上限規制など、働き方改革への取り組みも迫られており、物流機能を維持できず、物流が停滞するリスクが生じている。これを回避しようと、国を挙げた取り組みが行われている。
昨年9月に経産省と国交省が中心となって「持続可能な物流実現に向けた検討会」を立ち上げ、検討を重ねてきた。5月19日には第10回の検討会が開催され、最終とりまとめ案が示された。それによると、継続的な取り組みの必要性と、物流事業者、荷主企業・消費者、経済社会の「三方良し」を目指すことが記され、その視点での荷主企業や消費者の意識改革、物流プロセスの課題解決(非効率な商習慣・構造是正、取引の適正化、着荷主の協力)、そして物流標準化・効率化(省力化・省エネ化・脱炭素化)の推進に向けた環境整備の必要性が示された。
さらに今回、物流の適正化・生産性向上に向けた荷主の取り組むべき事項をまとめた。発着荷主が取り組むべき事項としては、荷待ち・荷役作業時間の把握、荷待ち・荷役2時間以内ルール、物流管理統括者の選定、運送契約の書面化、さらには異常気象時等の運行中止・中断を示した。加えて発荷主に対しては、出荷に合わせた生産・荷造りを、着荷主に対しては、納品リードタイムの確保を求めている。とりまとめ案は持続可能な物流を実現する上でいずれも有効な案となっている。
問題はしっかりと浸透するかである。トラック業界では、平成29年に運賃と付帯作業は別料金とした約款改正が行われているが、水面下ではそれがいまだ末端まで浸透しているとは言い難い状況だ。今回の検討会にしても、ただとりまとめ案を示したとしても、それはただ示したに過ぎない。実行力の伴うものにしていかねば意味がない。せっかく時間を重ねて検討してきたことを、絵に描いた餅に終わらせないよう、関係各所の取り組みはこれからが正念場である。
関連記事
-
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ