東京都内の事業者へ元ドライバーから１本の電話が入った。「再就職の邪魔をするな」というクレームの電話だった。元ドライバーとは労使トラブルがあり、再就職の邪魔をしていると思ったようだが、話を聞いてみると、どうやらそうではなく、「どういう影響が及ぶのか、想像力を働かせる、そんな指導も必要なのかもしれない」と、同社長はこぼしている。

　元ドライバーが同社で働いていた時、長時間労働に陥っていた。同社では、大手荷主の仕事を請け負い、荷主の組むルートの配送を担っていた。「荷主の組むルートを走れば、おのずと長時間労働になる。かといって、人を増やすだけの運賃は出ないので仕方がなかった」と振り返る同社長。荷主への依存度が高いため、交渉も難しく、改善しようにもできない状況だった。そんな時、元ドライバーが突然、弁護士を通じて残業代の請求をしてきた。同社に非はあったものの、請求通りに支払えば会社は存続できない。事情を説明して理解を求めると、元ドライバーは次に荷主である大手事業者へ矛先を変え、荷主先で「配車表を出せ」などと騒いでいたという。結局、請求通りとはいかなかったが、同社が１か月分の賃金に、いくらかプラスして支払うことで和解が成立し、元ドライバーは退社した。（詳しい内容は、物流ウィークリー１１月２３日号に掲載しております）