■一体化すれば儲かる
　船井総研創業者の船井幸雄は、企業繁盛のためには一番化、一流化、一体化を志向しなければならないと説いています。今回は、このうち一体化を促進する策を紹介します。
　なお、〝一体化〟とは、組織構成員の目的・目標に対する意識を統一することです。皆が等しく、その企業のミッションステートメント、経営理念、経営ビジョンなどに共感し、かなえたいと強く思っている状態です。決して、〝仲良し〟という意味ではありません。

■社内報の発刊
　組織一体化のためには、まず組織の目的・目標を周知する必要があります。そして、その意義をしっかり、粘り強く伝えて、浸透させていくのです。
　そのための有効な手段の一つは、社内報です。前記の目的を意識して、コンテンツを作ります。その上で、事務所内や休憩室に掲示し、また給与明細に同封するなどして、家族にも届けるとよいでしょう。まだ発刊していない会員企業様は、ぜひトライしてみてください。
■Ｐｏｌａｒ　ＴＶ
　そして、私が最近出会い、刺激を受けた事例は、動画の社内報です。昨年11月中旬に開催した米国物流企業視察ツアー（略称）で訪問した、Ｐｒｅｆｅｒｒｅｄ　Ｆｒｅｅｚｅｒ　Ｓｅｒｖｉｃｅｓという冷蔵・冷凍倉庫会社では、休憩室に壁掛け型のモニターを設置し、「Ｐｏｌａｒ　ＴＶ」というタイトルの社内放送動画を流していました。私たちが視たときのコンテンツは、社員インタビューでした。非常に高い効果が見込めるやり方だと感じました。
　言うまでもなく、紙媒体よりも映像媒体の方が情報を伝える力を持っています。電車でも、最近は動画モニターが設置されている車両が増えてきました。ターゲット層への情報到達力は、吊り広告よりも動画広告の方が間違いなく強いでしょう。
　社内報も同様です。休憩室の掲示板に貼ってある紙の社内報よりも、ループで動画の社内放送を流している方が目と耳を奪うことができ、到達力は高まります。
　例えば、トップメッセージ、社員インタビュー（モデル社員、新入社員、誕生日・結婚・出産時などに取材）、行事の報告・予告、連絡事項、事例共有（新規獲得業務の概要、事故事例など）、お客様インタビュー（お褒めの声の取材）などのコンテンツをモニターに流すと効果大だと思います。
■テレビ会議・朝礼
　さらに、組織一体化のためには、会議や朝礼も有効に使わなければなりません。
　各拠点に設置されたモニターは、会議や朝礼でも活用できます。ｗｅｂでつなぎ、Ｇｏｏｇｌｅ ハングアウトやスカイプなどを活用して、離れた拠点同士のコミュニケーションを活発化させると一体化度は高まります。
　特におすすめしたいのが、全社朝礼です。複数の拠点を展開している物流企業では、会社への帰属意識が育ちにくく、その拠点に入社したかのような感覚に陥ってしまいがちです。各拠点のローカル性が強くなり過ぎてしまい、意識の温度や雰囲気に大きな差が出てしまいます。なかなか一体化というレベルへ行きにくいことがあります。
　そこで、定期的（週１回～毎日）に、モニターを使って全社朝礼をやります。全社員を一同に集めるのは難しいですが、ｗｅｂを使えば可能です。トップの講話や各拠点長からの状況報告が、全社一同に聴けます。なお、社員の出勤時刻がまちまちで、一同に揃えない場合は、数度に分けて開催するか、録画して流すとよいでしょう。
■壁掛け型モニター
　事務所や休憩室に付けた壁掛け型のモニターは、組織の目的・目標に対する意識を統一化し、一体化を促進するために効果的に使えるツールです。
（船井総合研究所・橋本直行）
☆船井総研が運営する物流ビジネス情報サイト「http://www.ecologi.net」
※記事は14年8月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。