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    労働時間削減で辞めたドライバー 法令無視の会社に転職

    2012年10月17日

     
     
     

     労働時間の管理の徹底が求められているトラック業界。ただ、仕事量のセーブや交代勤務など工夫を凝らし、労働時間の削減に取り組む事業者がいる一方で、削減は無理だとあきらめ、これまでの長時間労働を続ける事業者も多い。埼玉県の事業者は、コンプライアンスの徹底から労働時間の削減に取り組んだ1社だが、その結果、依願退職を慰留できず、優秀なドライバーを失うこととなった。そして、そのドライバーが向かった先は、法令順守とは程遠い同業他社だった。


     労基署の監査が入り問題を指摘された同社は、労働時間の改善に取り組まざるを得なくなったという。運賃単価は上がるわけではないため、労働時間の削減は、そのまま運賃収入の低下を意味する。当然、ドライバーの賃金にも影響する。
     「働く時間を減らせば、それだけドライバーがもらえる賃金も下がる。理解してもらうしかない」と話す同社社長だが、「賃金が下がることで生活が苦しくなる者も出てくる」と指摘。実際に同社でも、労働時間の削減に取り組んだことで、ドライバーが辞表を出してきたという。
     そのドライバーは優秀なドライバーだった。「賃金が下がれば生活ができなくなる。もっと働きたい」と訴えられたが、社長は返す言葉がなかったという。妻子持ちのそのドライバーは、労働時間の短縮は必要ないからもっと働かせて欲しいと、切実に訴えてきた。
     「自分らの時代は長時間労働は当たり前で、とにかく稼ぎたいという思いでやっていた。それを考えると、ドライバーの訴えはもっともだと感じた」という社長だが、「いま、それを続ければ会社は立ち行かなくなる。時代の流れだというしかなかった」と打ち明ける。
     「できることなら続けて欲しかった」が、労働時間を戻すこともできなければ賃金を上げるわけにもいかない。慰留したものの、結局、そのドライバーは退職してしまった。
     「仕事にも責任感を持って取り組み、真面目で優秀なドライバーだった。貴重な人材を失ってしまった」と嘆く社長だが、そのドライバーの転職先を聞いて驚いた。そこは社会保険も未加入で、当然労働時間の管理もない、いわばコンプライアンス経営とは程遠い同業他社だったのだ。
     「生活するためには仕方ないとはいえ、法令違反で経営を続ける同業他社に自社のドライバーが行ってしまったのは、残念な気持ちでいっぱい」と話す社長は、「このままでは、法令を順守する会社が馬鹿を見るだけではないか」と憤る。「法令違反を許さない環境の徹底を図るとともに、早急に運賃単価の引き上げを行わなければならない」と訴えている。

     
     
     
     

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