国内経済が縮むのと比例し、今後多くの事業マーケットが、さらに
供給過剰の状態になるのは間違いありません。
そのような中で生き抜くためには、独自のブランドを創り、顧客の
心に深く入り込むことが必須だというのが、本書、マーティ・ニュー
マイヤー著「ザグを探せ！～最強のブランドをつくるために」
（実務教育出版）の主張です。

〈ザグ〉というのは、〈ジグザグ〉の〈ザグ〉です。
皆が〈ジグ〉でいくなら、自社は〈ザグ〉でいこうという主張です。
本書は、企業が独自固有の長所を明確化し、自社を成長軌道に乗せる
ためのストーリーを、例をまじえて解かりやすく説明する良書です。
読者は、本書を読み進める中で、このストーリーに合わせて、自社の
独自固有の長所を設計していくことができます。
例えば、「何・どのように・誰・どこ・いつ」という５つの切り口で、
自社の『唯一性』を設計するパートがあります。
ハーレーダビッドソンやフーターズといった唯一性の強いブランドの
例が挙げられています。
ハーレーダビッドソンなら、以下のとおりです。
何・・・唯一のオートバイメーカー
どのように・・・大音量で迫力のあるオートバイを作る
誰・・・男らしい（男らしさに憧れる）男性
どこ・・・主にアメリカ
なぜ・・・カウボーイの集団に加わりたいから
いつ・・・個人の自由がますます失われている時代
我々も、自社の事業や商品を、これらの切り口で、唯一性を創るべく
整理していくのです。
本書を貫く「誰もいないところを狙え」という主張は、これからの
時代に最も重要なことを表していると思います。