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  • ブログ・川﨑 依邦

    一人でも入れる労働組合がやってきた(4)理解できない要求書

    2011年7月8日

     
     
     

     労働組合加入通知書と団体交渉の申入書とは別に要求書がある。



    要求書曰く
     「(1)会社は労働基準法をはじめ諸法律を順守すること
     (2)会社は就業規則を明示し、就業規則の周知義務を果たすこと
     (3)会社は賃金カットを白紙撤回すること
     (4)会社は現行賃金制度を見直し、賃金体系を改善すること
     (5)会社は法律に基づき年次有給休暇を付与すること
     (6)会社は法律に基づき週40時間制を順守すること
     (7)会社は時間外未払賃金を直ちに支払うこと
     (8)会社は要求に基づき夏季一時金を支給すること
     (9)会社は労働安全衛生法に基づき健康診断を実施すること
     (10)会社は制服代を給料から引かないこと」—-とある。

     A社長の頭をかすめたことは次の通りである。

     (1)については、何を言っているのか理解すらできない。「労働基準法を守れと言ってもそんなことが運送屋に通ずるのか」との思いがある。

     (2)については、そもそも就業規則、給与規定はA社にはない。形ばかりはあるが、あくまで形でしかない。A社長は就業規則を読んだことすらない。

     (3)については、A社は経営環境の悪化に直面して一律10%の賃金カットを実施した。今さら白紙撤回はできない。白紙撤回すると会社がつぶれる。

     (4)については、賃金制度を見直すことが賃金を上げるということであるとすれば、それはできない。賃金カット10%を実施しているのに無理な相談である。

     (5)については、A社では有給休暇を法律に基づいて社員に付与することはできない。A社では1か月25日稼働が基本である。欠勤すれば給料がダウンするだけである。

     (6)については、無理な話である。長距離運行をしていて月間400時間も働くドライバーもいる。どうやって週40時間を守れというのか。一言で言って無理である。

     (7)については、A社の賃金ではそもそも残業代=時間外未払賃金という考えがない。働いていくらの賃金である。

     (8)についても、この厳しい経営で夏の賞与を払うどころではない。

     (9)についても、深夜で働くドライバーには、6か月に1回の健康診断は行っていない。

     (10)についても、制服代を給料から引いて、どうして文句があるというのか。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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