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    経営再生物語(280)人材育成について(4)A社の事例(2)

    2020年2月24日

     
     
     

     ・頑張れC君

     

     D社は社員数70人の印刷工場である。この工場で、私は小集団活動の研修を行っていた。

     C君は22歳。一見してボーッとしたタイプで、動作がにぶく、学生のとき勉強ができないので苦労したという。職場でも「アイツはちょっと頭たりんわ」とバカにされていた。それが小集団活動のチームリーダーとして立派にこなして、年間の最優秀を獲得した。

     その理由は、どこにあるか。それはC君のサークルにいるE君という先輩の存在が大きい。

     E君は「ノロマ」といわれていたC君の可能性を信じた。それで小集団活動のテーマをC君の動作を早くすることにおいて、〝頑張れC君〟と名付けてスタートした。

     私は当初、一個人を対象としたテーマはふさわしくないとアドバイスしたが、〝頑張れC君〟でいくとなった。「C君がにぶいのは、職場の同僚は、みんな知っている。だからわれわれのサークルはC君に願いをかけようではないか」とE君は説いた。

     リーダーとなったC君は、本当に頑張った。動作を早くしようと努力を続けた。成果が出た。C君のやる気が目に見えて表れてきた。小集団活動発表会では、きちっとした発表で、文句なしに最優秀に輝いた。

     以上の2つの事例で何を感じるべきであろうか。それは一人ひとりの自発性を引き出すことの大切さだ。自発性を引き出すには何がいるか。それは、他人の存在だ。

     B君がドライバーとして一本立ちできたのも、家族と職場の同僚がいたからだ。家族を幸せにしたいというB君の思いとB君に頑張ってほしいという家族の願いが、B君の自発性を引き出したのだ。そして缶コーヒーの事例にみられる職場での心の通い合いが支えとなった。

     C君も、E君の心からなる願いがなければ、目ざめなかったと思われる。他人の存在は大きい。人が成長するのも、自分1人の力ではない。周囲の期待に育くまれて成長するのだ。従って人材育成の基本は人間的成長への思いの深さである。            (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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