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    経営再生物語(315)人材育成について(16)ある病院の事例(1)

    2020年11月30日

     
     
     

     感動の大切さ

     ある経営者云く。「我社は、おとなしいタイプの社員ばかりです。口よりも体でモクモク働くものばかりです。だから口が上手くて、賢すぎるのは我社には向きませんよ。人材育成と言ったって、知識が増えて、賢くなって文句を言うようになったらヤブヘビですな。あんまり知恵がつきすぎるとやりにくいですよ。我社のレベルは低いもんですよ。仕方ありませんな。人材育成なんて諦めてますよ」…。

     中小企業にとっての人材育成はどうあるべきか。これについて、ある病院(145床)での看護部門での働きは、1つの答えを提示している。脳に重い障害があって意識障害している患者が、看護活動によって徐々に回復するのだ。一例だけであれば特殊、例外ということになるが、数十例もあるということになると、これは本物だ。

     看護活動の基本は、うんともすんとも言わない患者に対して、寝たきりにせずに、生活行動させるところにある。患者のレベルに応じて担当看護婦がケアの計画を立てて、1つずつクリアしながら進んでいく。生活行動とは1日のリズムをとっていく。昼間はベッドから起きて、車いすに乗ってテレビを見たりする。意識障害の為植物人間化している患者に対して、温浴といってお風呂に入れたりする。絶えず声をかけて働きかけていく。「化石」のようにじっとして、なすすべもない患者に対して、粘り強く働きかけていく。

     こうした積み重ねで、不思議な変化が患者に生まれてくる。親友の声をカセットに録音して枕もとで聞かせていたら、患者の表情が変わり、一滴の涙が出てくる。看病していた妹さんが感動して泣く。食事についても、一定の段階になると、口を使って食べるように働きかけていく。献身的なケアで、モグモグと患者が口を動かすようになる。そしてジャンケンポンの声に反応して、パーとかチョキを出すようになる。いわゆるサインを出すようになる。ついには、自力で車いすを動かすようになる。看病していた家族は、車いすを動かす夫や妻をみて感動して泣く。担当の看護婦も数か月、数年のケアが報われたとの思いで感動する。

           (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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