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ブログ・野口 誠一
第264回:すさまじき相談件数
2010年4月16日
念願の「倒産110番」常設を機に広く世に知ってもらうべく、私は再度、「倒産110番」イベントを企画した。今度は前年のてんてこ舞いに懲りて、東京・芝の増上寺を借りきった。
電話も5本、弁護士も5人、相談員30人と大幅に増員した。が、それでもてんてこ舞いを余儀なくされた。たった1日で500本もの相談が殺到したのである。
これにはスタッフ全員が驚いた。このてんてこ舞いは、倒産してもいかに頼るところがないか、あるいは、倒産の危機に瀕しながら、いかに相談するところがないか、その如実な証明である。私はつくづく倒産駆込寺を開設したことの意義を痛感した。
結局、この増上寺のイベントは1日しか打てなかった。帝国データバンクが協賛してくれたものの、資金的にそれ以上は不可能だったのである。このときもマスコミがバックアップしてくれ、新聞は「以後は八起会の常設110番へ」と、電話番号まで紹介してくれた。と、翌日から常設の110番が鳴りやまない。それが2、3か月ほど続いた。
ようやく一段落して増上寺へお礼に伺ったところ、いきなり「おたくにはもう貸せませんよ」という。聞けば、あれ以来、毎日のように問い合わせの電話が殺到し、ほとほと困り果てたとのこと。私は恐縮するしかなかった。
しかし、それが当時の実態だった。倒産とそれにまつわる悲劇、悲惨のなんと多いことか。そしてその倒産は八起会にも迫りつつあった。借金と会員の会費だけを頼りに始めた「倒産110番」だったが、やがて資金が底を突き、維持が困難になってきたのである。
ボランティアの限界である。くるべきときがきたのである。こんなに助けを求めてくる人がいるのに、閉めねばならないとは・・・。私は無念でならなかった。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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