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    仕事より休み選ぶドライバー 時短で活気失う会社

    2011年12月21日

     
     
     

     中小・零細企業が業界全体の9割以上を占めるトラック業界。自らハンドルを握り、会社を興してきた事業者が多いのが特徴だ。そうした事業者にとって今、労働環境の変化に戸惑いが広がっている。働くドライバーの意識の変化が大きな理由だが、とりわけ社歴の長い事業者には影響は深刻なようだ。


     埼玉県の事業者は、運送会社を立ち上げて三十数年が経つ。同社も、社長自らハンドルを握り、会社を興してきた一人だ。「当時は寝る間を惜しんで働いた」と振り返るが、そこでは、働くドライバーにも活気があったという。
     同社長によると、例えば、休みの日などに仕事が急きょ入った場合、「俺にやらせてくれ」と、我れ先にとドライバーが言い寄ってきた。労働時間の制約がほとんどなく自由に働けた時代のことだが、「ドライバーみんなの目がいきいきしていて、会社も勢いを感じていた」という。
     しかし、時代は労働時間短縮へと向かった。行政の厳しい取り締まりも加わり、自由に働けない時代を迎えた。同社も法令順守に動く。当然、それまでよりも労働時間が短くなる。運賃水準が上がるわけでもないため、ドライバーの賃金は下げざるを得なかった。「給料が下がるとともに、会社も活気を失っていった」と、同社長は指摘する。
     ただ、労働時間超過による重大事故のリスクを考えると、「ある程度の制約は仕方がない」と認める。こうした状況の中で同社長が最も戸惑うのは、ドライバーの意識が明らかに変わってきていることだ。
     「昔は、仕事があれば俺がやりたいというドライバーばかりだったが、今は、俺はやりたくないというドライバーばかりになった」と指摘する。「いっぱい働いていっぱい稼ぐというドライバーが大半だったが、今は、生活ができれば働かなくてもいいというドライバーが圧倒的に多い」と現状を説明する。
     そのため、「休日に突発的に入った仕事のやりくりに四苦八苦しているのが実情」とこぼす。同社では、「代わりに翌日は楽な仕事を回すから」「残業代にプラスアルファを付けるから」といったインセンティブを与えながら、なんとか回しているというが、それでも、休みを選ぶドライバーが少なくないのだという。
     「贅沢をしなくても、最低限の生活ができれば、それ以上は望まないという考えのドライバーが増えた」と嘆く。「いい暮らしがしたい、多く稼ぎたいという野心は、今の若者にはないのか。労働時間の短縮、そして度の過ぎる労働時間の管理は、ドライバーの意識までも変えてしまった」とし、「人を使うことに、これほど気をもまないといけない時代が来ることを想像もしていなかったよ」と漏らしている。

     
     
     
     

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