-
物流ニュース
ハウス食品とF―LINE フェリーで輸送を複線化、供給責任に応える物流とは
2026年9月30日
台風や豪雨、地震といった災害は日本各地で頻発している。最近では、気象情報によってドライバーの安全を優先し、ルートの変更や輸送計画を見直す運送事業者も出てきており、柔軟に応える荷主も増えてきた。一方で、モノを届け続けるために、普段から複数のルートを模索する企業もある。
ハウス食品とF―LINE(坂本次郎社長、東京都中央区)は、ともに行っている九州方面への加工食品の輸送が、名門大洋フェリー(小林洋社長、大阪市西区)の推薦を受け、令和3年度のエコシップ・モーダルシフト事業優良事業者に選ばれた。

西日本豪雨が転機
ハウス食品では平成30年に発生した西日本豪雨をきっかけに、フェリー輸送への関心が一層高まったという。それまで九州向けにスパイスやカレールウを輸送していた鉄道路線が被害を受け、炎天下で運んでいたコンテナの滞留が起こった。高温のコンテナ内に商品が長時間置かれたことで品質劣化が生じたため、スパイスやカレールウは廃棄になってしまったという。
九州方面への輸送は、トラックの確保に苦労しながらも陸送へ振り替えたが、当時ゆるやかに始まっていたフェリー輸送が継続供給に寄与したという。
こうした経験から、F―LINEの協力を得て、トラック、鉄道、内航船舶(フェリー、RORO船)という3モードを確保。生産・SCM本部SCM部ロジスティクス戦略課の杉山拓実課長は「ドライバー不足に加えBCPの観点からも複数のルートを持つことが重要で、継続する理由になっている」と話す。
コスト面ではトラックや鉄道輸送が現在も優位だが、「コストの優位性が逆転してから『船を使わせてください』ということになっても、枠を融通してもらうのは難しい。早い段階でモーダルシフトを推進しておくことが先行投資だと思っている」と杉山課長は述べる。
フェリー輸送に比べ、鉄道輸送はコスト・環境面で優位、トラックは機動性がある。一方、フェリー輸送は一部ではトラックよりも時間がかかるルートがあるものの、運休は少ないという。
賞味期限のある商品は、先入れ先出しが基本。賞味期限の表示が年月日から年月表示となったとはいえ、トラックの荷物が、先に出発したフェリー輸送より早く到着しないように、調整を行うこともある。
運転者の時間創出へ
「今いるドライバーの限られた時間で最大限効率的に働いてもらおうという取り組みを行っている」というF―LINE事業本部輸送企画部の浦澤真司部長と西日本マルチモーダルサービスセンターの江藤正明センター長。フェリー輸送で得られるのはドライバーの時間だという。
九州方面へのフェリー輸送では、ドライバーが乗り込む有人航送とトレーラだけの無人航走のどちらも行っている。無人航走では、名門大洋フェリーの物流子会社・フェリックス物流が輸送を担当する。
フェリックス物流の社長も務める名門大洋フェリー執行役員の藤野武昭氏は「20トンのセミトレーラを用いて、港ごとに別のドライバーが輸送を分担することで、1人あたりの拘束時間を短縮している」と説明する。
ドライバーが船舶に乗って移動する有人航送では、「複数の委託先のドライバーにフェリーを乗ってもらっているが、高齢のドライバーからの人気が高い」と江藤センター長。「高齢のドライバーほど、よりしっかりした休息期間が必要。その方たちがいるからこそ、この物流が成り立っている側面がある」。
今後の課題は「到着した先で、荷下ろしをした後の時間の有効活用。到着した先の地場運行を行うことで生産性を上げていきたい」と意気込む。
拡大には課題も
ドライバーが高齢化するなか、フェリー輸送は長距離輸送で注目を集めるモードとなっている。
ハウス食品とF―LINEが九州方面への輸送で利用する瀬戸内航路は比較的穏やかな航路で、運休も少ない。
しかし、杉山課長が危惧したとおり、現在、名門大洋フェリー瀬戸内航路の平日の積載率は100%。土日は比較的空きがあるが、藤野氏は「増便には船舶を新たに建造する必要があるが、船員の人手不足など課題もある」と話す。

「積載量を増やすためには船舶の大型化も選択肢となるが、大型化したフェリーが着岸可能な港湾の整備が大阪南港、新門司港両方で必要になる。国交省をはじめとする関係官庁に対し、港の整備の要望しているところ」と課題を挙げる。
杉山課長の「複線化は、ハウス食品の供給責任を果たすためのものでもある」という荷主側の意向を受け止め、F―LINEの浦澤部長と江藤センター長は、「供給責任に対し、物流事業者は物流を止めない、運び続ける手段を提供することがサービスとなる」と断言している。
※本記事の無断転載・複製・再配布、および内容を要約・再構成して公開する行為を禁じます。
© 物流ウィークリー関連記事
-
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ








